日立電線株式会社
化合物半導体材料分野で世界No.1の日立電線株式会社が
Micro Focus Net Expressで生産管理システムをBPR
●世界市場でトップシェア
日立電線株式会社は、その名のとおり、情報通信用電線や電力用など各種のケーブルを製造するメーカーです。しかし、それだけではありません。同社は半導体材料分野もまた得意としています。特に、GaAs化合物半導体基板の販売では、世界市場でトップシェアを誇ります。
近年は、携帯電話の普及が急速に伸びていることから、これに使われる高周波トランジスタ用の化合物半導体基板の需要もまた右肩上がりで増加しています。それはとても喜ばしいことなのですが、従来の生産体制では需要に生産が追いつかないという問題が浮上してきました。たとえば、生産方式が十分に最適化されておらず、化合物半導体の結晶成長から基板の出荷までの設備の稼動率が高くないという問題がありました。また従来のHISCOPEと呼ばれるホストベースの実績収集システムは、日々の基板生産を管理するものなのですが、これはホスト稼動の都合上、平日の昼間のみしか利用できません。ところが、工場は増加の一途をたどる受注をさばくため、週末・夜間も連続で稼動しており、昼間以外の分の生産実績はリアルタイムで把握することができず、このため、最適な生産指示がしにくいという問題がありました。日立電線株式会社半導体材料事業本部日高工場では、こうした生産環境の変化に対応すべく、生産管理システムのあり方を見直すことにしました。
●市場への安定供給をめざして BPR
当初、システム改善の対象はホスト系のシステムである "HISCOPE" だけを対象としていました。しかし、調査を進めていくうちに、それだけでは大きな改善効果が見込めないことが判明します。"どうせ見直すなら、生産能力の向上を視野に入れた抜本的な改革を" ということになり、設計システムや生産計画システム、製品検査の支援システム、生産工程の進捗管理を行う進度管理システムの開発、基板の後半工程に従来からあったOAシステムの再構築も合わせて実施し、総合的なビジネスプロセスリエンジニアリングを行うことにしました。これを実行することによる主目標はリードタイムの半減としました。またシステムのカットオーバー予定は市場は待ってはくれないとの考えから、できるだけ早期に投入すべく2001年3月と設定されました。これらの意思決定がなされたのが2000年の夏でしたから、時間はそうありませんでした。
●市販製品が適用できない特殊な生産工程
化合物半導体基板は、ガリウムとひ素を原料に生産されます。簡単に生産工程を追うと、ガリウムとひ素から成る高温の炉で種結晶を使って単結晶を成長します。これを製品規格の面方位にしたがって薄くスライスし、さらに表面を研磨して所定の厚さに揃えて完成です。単結晶の長さは常に同じとは限らず、またスライスや研磨の工程で不良になるウエハもあるので、1つの単結晶から何枚の半導体基板が取れるかはいちがいにはいえません。また、特性保証のため、顧客ごとに結晶単位で製品を割り当てるため、工程や数量の管理を顧客ごとに細かく行う必要があります。
当初は実績収集から生産管理まですべてをカバーするパッケージ製品を導入することを検討していたのですが、製品の形状がこのように結晶単位から後半工程で枚数単位に変わってしまい、また出荷できる基板枚数が状況によって随時変化するという特殊な生産工程を踏むために、ふさわしいパッケージ製品が見当たりませんでした。といって、カットオーバーまでの時間が迫っていることから、一から自社開発する時間的余裕はありません。そこで実績収集系についてはホスト上で稼動していた HISCOPE の COBOL プログラムをクライアント/サーバ型システムに HISCOPE II として再利用することにし、これをベースに生産計画システム、進捗管理システム、検査支援システム等を持つ基板生産管理システム GALOP(GaAs Leadtime Optimized Production control system)を構築することにしました。"実績収集系について業務フローはすでに確立されたものを利用し、これに手を加える形で開発すれば、スクラッチから始めるよりよほど速い" と考えたのです。
●ODBC 性能とテクニカルサポートで選択した Net Express
HISCOPE II の開発環境について2種類の COBOL 製品を比較検討した結果、同社はメラン トMicro Focus Net Express を選択します。その理由を同社半導体材料事業本部日高工場半導体製造部第一半導体課佐藤豊彦氏は次のように語ります。
「マイクロフォーカス株式会社のODBCは性能が高く、他社製品よりデータベースアクセスが安定していました。この ODBC と親和性の高い COBOL 環境として Micro Focus Net Express は大変魅力的でした。
またテクニカルサポートがすぐれていたというのも大きな決定要因でした。なにか質問を投げると、常に迅速に誠意ある回答をくれました。ご承知のとおり開発は急いでいましたから、"疑問も、問題も、速く解決してくれること" というのが大前提でした。それに製品を決める段階でもマイクロフォーカス株式会社のテクニカルサポート部隊が見事に応えてくれました。これらの観点から Micro Focus Net Express を選択しました。」

半導体材料事業本部
半導体製造部
第一半導体課
佐藤豊彦氏
Micro Focus Net Express の印象について、佐藤氏は "Windows系の開発ツールと同じ感覚で利用できる、COBOL の統合開発環境" と語ります。GUIを駆使した直感的操作が可能な設計であるため、COBOL のスキルをもつ技術者であれば容易に習得することができます。また従来のホスト上の COBOL の命令セットはほとんど使えるため、プログラミングベースで従来システムをC/Sシステム上に再現することができます。今回は外部のソフトハウスに HISCOPE II の開発を依頼しましたが、その際もプログラムの再利用ということですでに旧ホストシステムの仕様書が存在したため、開発を比較的スムーズに進めることができました。
「入力可能スペースのカーソル表示や別プログラムを走らせるのに一旦、現在のプログラムを終了させなければならないなどホストの機能からいくつかドロップしたものがある点を除けば、非常に使いやすいと思います。ホストと違って、いつでもコンパイルをかけられるのがいいですね。ホストだと処理負荷がかかるので夜中にしかできないというデメリットがありましたが、Net Expressであれば、容易にコンパイルを始められるのでちょっとした修正も比較的気軽に行えます。」(佐藤氏)
現場のシステム利用ユーザーがとまどうことのないように、開発されたシステムは画面イメージもホスト時代のものをほとんどそのまま踏襲。そのため研修教育ステップも大幅に省略することができました。また、Micro Focus Net Express は Visual Basic で開発された Windows アプリケーションと DLL 経由で連携する機能も有しており、その点についても既存の周辺プログラムと結合がやりやすかったと語ります。
●システム概要
同社の半導体基板生産管理システム「GALOP」は、Windows2000 Server と約80台の Windows98 クライアントで構成されています。サーバにはデータベースである SQL Server 7.0 と、ここに HISCOPE II 、基板設計システム、生産計画システム、検査支援システム、進度管理システム、研磨FOA、基板設計システムといった業務アプリケーションが搭載。このシステムが2棟の工場建屋内でLAN 環境で利用されています。工場内は専用のPCを利用し、事務所では全社系のネットワーク用の各個人のPC上で利用可能です。このうち半数強に当たる40数台で Net Express で開発した HISCOPE II が稼動しています。
●今後はWeb化も視野に入れていく
システムは、2001年3月末に予定どおりカットオーバーを果たしました。今後は、リードタイムの半減、在庫の適正化、工場内のすべてのユーザーによる半導体基板生産の進捗把握などをめざして、運用が進められていきます。
その一方で、すでに2001年4月〜10月の上半期に完成が予定されている第二段階のシステム開発もスタートしています。こちらは品質管理やライン管理などといった、蓄積されたデータをもとに分析を行うシステムです。
同社では、将来的にWeb環境でのシステム利用も検討しています。現在、システムのカバー対象である工場建屋2棟は隣接しているのですが、先々敷地内移転を行う可能性があり、そうなると LAN 環境での接続よりもインターネット接続の方が便利になるかもしれないからです。
既存の COBOL プログラムを最大限に活用することで、半年強という期間でドラスチックなビジネス・プロセス・リエンジンニアリングに成功した日立電線株式会社。化合物半導体基板の需要もますます高まる中、さらなる発展が同社を待っています。
ユーザープロフィール
本社:東京都千代田区
設立:1956年4月
資本金:259億4,800万円(2001年3月現在)
売上高:3,304億2,600万円(2001年3月現在)
従業員数:6,537名(2001年3月現在)
事業内容:半導体材料、光伝送部品、電線・ケーブル、伸銅品等の製造
