株式会社野村総合研究所

株式会社野村総合研究所

全800万ステップにのぼるWebベースの大規模証券業務システム開発
成功を支えた海外SIerとMicro Focus Server Express

Highlights

Business

野村総合研究所(NRI)は、新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担うことを経営理念とする「未来社会創発企業」。経済調査や企業・官公庁のコンサルティング等を行う「コンサルティング・ナレッジサービス」と、情報システムの企画・設計・開発・運用等を行う「システムソリューションサービス」を通して、顧客の問題を発見し、解決するまでのトータルソリューションを提供している。

Challenge

1966年から長きにわたって、同社はASP形式で証券業務システムを提供してきた。高い人気を誇るサービスであったが、メインフレームベースであるために新しい機能追加が難しく、運用コストが高いという問題点が浮上しつつあった。そこで、まったく新しいシステムアーキテクチャで再構築することを決断する。

Solution

新システムの開発では、業務ロジックの7割がCOBOLで開発された。選択されたのはプロジェクトメンバーが習熟して開発状況を把握しやすく、業務の記述や事務処理計算に長けているなどの点が大きな理由だった。具体的な製品選定では、過去の証券関連システムでの実績から、Micro Focus Server Expressが採用された。

Results

新証券システムは予定どおりカットオーバー。顧客は移行を果たし、業務遂行になくてはならないシステムとして、日常的に利用している。システム開発コストも目標の価格内に収まり、提供価格を下げながら収益も確保するという当初の目的を達成している。

 2001年、野村総合研究所(NRI)はASP形式で提供してきたメインフレームベースの証券業務システムの全面刷新を決断。36の目的別サーバから構成され、全800万ステップ(COBOL換算)にも上る大規模Webアプリケーションシステムの構築にあたって、中国のシステムインテグレータを積極活用するとともに、業務ロジック開発の7割にCOBOLを適用。具体的な製品選定でMicro Focus Server Expressを選択しました。

●The company

 21世紀は知の時代だといわれています。すなわち、専門的な知識を有するプロフェッショナルどうしがチームを組んで解決策を示し、それをひとつのサービスとして提供する。そこでは知識情報化社会といわれるものが形成されていくことになります。
 そうした潮流の中にあって、野村総合研究所(以下、NRI)では、コンサルティング・ナレッジサービスとシステムソリューションサービスという2つのサービスを通して、顧客の問題発見から問題解決までをトータルにサポートしています。
 同社が最も重要視しているのは、顧客への高い付加価値の提供と、企業価値を高めるためのサポート。それゆえ、調査・研究、コンサルティング、システム設計・構築・運用のあらゆるフェーズにおいて、安定的に高品質なサービスが提供できるように、人材リソースへの投資を始め、すべての経営資源を集中させています。社会や産業界に貢献のできる未来社会創発企業であり続けること。それがNRIの変わることのない決意であり目標です。

●The challenge

 NRIのサービスラインナップの一つに、STAR-Ⅲと呼ばれるASP(Application Service Provider)形式の証券システムがありました。これは個人向け業務を手がける証券会社の基幹業務をサポートするもの。注文から約定、決裁に至るまですべての業務がトータルにカバーされているのが特長です。たとえば、保管管理と呼ばれるシステムは、証券会社が顧客から預かる株券や債券を一元管理する機能を持っています。それらの物理的所在を記録するとともに、預かっている間に株券や債券に権利や利金が発生すれば、それを通知する役割もあります。
 一方、顧客属性管理システムでは、株券や債券の売買を行う顧客の情報を一元的に管理します。氏名や年齢、勤務先、売買履歴だけではなく、インサイダー取引を防ぐための管理項目も含まれます。
 1966年にメインフレームでサービス提供を開始して以来、この証券システムは常に好評を博してきました。システム開発部門に充分な人材を割けない中堅規模以下の証券会社にとって、サービスとしてシステムが利用できることは、非常に大きな利点だったのです。しかしながら、長い歴史を持つだけに、問題点も少しずつ浮上し始めていました。
 その一つは、メインフレームベースのシステムであるために時代の要請で求められる新しい機能がなかなか付加できないという点です。たとえば、証券会社からは帳票を発行せずに業務が進められるようにしてほしい、注文から決裁まで一貫したワークフローを確立してほしいなどといった要望が寄せられていました。
 これもメインフレームゆえの問題なのですが、システムの運用コストを思うように下げることができませんでした。証券業界では一連の規制緩和によって、生存競争が熾烈化しており、NRIの顧客の企業価値を高めるには、システム利用料の削減は必須の課題といえました。
 サービス撤退も選択肢の一つとしたシビアな社内検討の結果、NRIはSTAR-Ⅲをコスト競争力のある新しいアーキテクチャで再構築することを決断します。NRIの新証券システム推進部長 神宮寺仁氏は、その経緯を次のように語ります。「NRIは、設立時より証券システム構築を核に成長してきた。そのわれわれが証券システムから撤退するわけにはいきません。またSTAR-Ⅲは現状20数社のお客さまに利用されていて、担っている社会的責任も多大なものがあります。サービスは存続させる。しかも提供価格を下げて、われわれ自身の収益もきちんと確保する。そのために、それが可能なシステムアーキテクチャに作り変える。それはビジネスを考えれば自然な流れでした」
 新しいシステムを提供するなら、できるだけ早い方がいいことは自明の理です。時間がかかればそれだけ商品性が失われてしまいますし、外資系パッケージベンダーなど他社が競争をしかけてこないとも限りません。
 システム開発コストを厳密に管理することも重要な要件でした。神宮寺氏にはこのシステムの市場規模をあらかじめ予測していました。“売り上げがこのくらいなら、開発コストはここまでに抑えるべき” それは製造業では当然のように行われる原価管理の発想でした。

THE STARのシステム構成図
THE STARのシステム構成図

●The solution

神宮寺仁氏
新証券システム推進部長
神宮寺仁

 新証券システムは「THE STAR」と命名されることになりました。ASPスタイルで提供することを考えれば、最適なシステムアーキテクチャはWebアプリケーションです。神宮寺氏はまず、コストを考えて上流工程を含めたそのプロセスの大半を、複数の中国のシステムインテグレータに発注することを決めます。 次に、プログラムを記述する言語のことを考えました。画面や画面遷移を制御するプログラムはWebアプリケーション開発の世界で主流のJavaで書くとして、問題は業務ロジック部分をどうするか。THE STARは36の目的別サーバから構成されるCOBOL換算で800万ステップにものぼる大規模なシステムになる予定でした。2001年当時、Javaで開発された大規模な基幹業務システムの事例はほとんど見当たらず、開発を支援するツールもそろっていませんでした。そのため、業務ロジック部分はCOBOLかCで記述することにしたのです。どちらを選ぶかは、それぞれのサーバ開発の責任者と中国のシステムインテグレータの裁量範囲としました。結果的に、THE STARの7割のプログラムがCOBOLで書かれたそうです。
 なぜプロジェクトチームの多くがCOBOLを選択したのでしょう? それにはいくつかの理由がありました。
 まずは、NRIのTHE STARプロジェクトメンバーがメインフレーム時代の開発経験でCOBOLに習熟していたこと。新システムでは旧システムのCOBOL資産を再利用する予定はなかったのですが、開発手順の標準化を策定したり、中国のシステムインテグレータから上がってきたソースコードを読むことを考えると、それが慣れていて良く分る言語であることは非常に重要でした。

藤宮昌和氏
証券システムサービス開発二部
上席システムエンジニア
藤宮昌和

 またCOBOLが業務を記述しやすく、事務処理計算に長けていることも大きかったといいます。証券システムサービス開発二部 上席システムエンジニア 藤宮昌和氏は、そうしたCOBOLの利点を次のように語ります。「THE STARで必要なのは四則計算だけで、それほど複雑な計算ロジックが存在するわけではありません。ただ、COBOLは扱える有効ケタ数が31ケタと大きいので、Cと違って開発で悩む場面がなかったというのは事実としてあります」
 神宮寺氏は補足します。「非常に大規模で、ある意味でリスクを負ったプロジェクトだったので、せめて開発言語は、十分に枯れた安全なものを使おうという判断でした」
 NRIが採用したのはマイクロフォーカス社のCOBOL製品。UNIX用COBOL統合開発環境としてMicro Focus Server Expressを選択しています。 「以前当社が開発した証券関連システムでマイクロフォーカスのCOBOL製品を利用した実績があり、その品質をメンバーがよく理解していたというのが一つ。また、金融業界で標準的に利用されているCOBOL製品であったということも大きな理由です。THE STARはASPスタイルでのサービス提供だけでなく、単機能ごとの外販も考えていました。そのため利用するソフトウェアはできるだけ業界標準の製品であるほうが訴求しやすいと考えたのです」新証券システム推進部 主任システムエンジニア 築出卓也氏は、Micro Focus製品の選択理由をこのように語りました。

築出卓也氏
新証券システム推進部
主任システムエンジニア
築出卓也
落合信仁氏
証券システムサービス開発一部
主任システムエンジニア
落合信仁

 今回、Micro Focus Server ExpressはNRI社内に設置されたUNIXサーバ上にインストールされ、中国のシステムインテグレータ各社はネットワーク経由で利用していたそうです。またMicro Focus Net Expressも、彼らがCOBOLに習熟するための支援ツールとして利用されました。NRIが採用した中国のシステムインテグレータ7社は、いずれもCOBOLを初めて使ったそうですが、瞬く間に習得してしまったといいます。証券システムサービス開発一部 主任システムエンジニア 落合信仁氏は、「彼ら自身が非常に優秀なエンジニアだったことにも起因するのですが、中国のシステムインテグレータはMicro Focusのどの製品にもすぐに慣れて、終始気持ちよく使っていました。今回のプロジェクトで言語や統合開発環境が問題になったことはまったくありません」と、証言しています。

●The result

 THE STARは、2年と決めた当初の開発計画を一日も遅れることなく、2003年5月6日にカットオーバーを果たしました。STAR-Ⅲの顧客だった証券会社はすべて新システムに移行し、業務を遂行するのになくてはならないシステムとして毎日利用しています。稼動状況も極めて順調です。
 システム開発コストも目標だった価格内に見事収まりました。中国のインテグレータが上流工程から理解していることで、これからはシステムメンテナンスで大幅なコスト削減が可能になると、神宮寺氏は大きな期待を寄せています。
 現在、NRIは個人を対象とする証券業務だけでなく法人セールスも手がける証券会社向けに、THE STARのアドオン機能を開発中。ここでもやはり中心言語はCOBOLだそうです。
「証券業界にCOBOL資産は膨大にあり、COBOL開発がなくなるということはちょっと考えられません。当社は新人教育でCOBOLを教えていますし、これから発掘する海外のシステムインテグレータにもどんどんCOBOLを覚えてもらおうと思っています。高い品質のアプリケーションを低コストで組めるのですから、これからますますこの組み合わせでの開発を増やしていこうと考えています」と、神宮寺氏。
 品質、コスト、そして開発期間といういくつも要件を見事クリアした全800万ステップの証券システム刷新。Micro Focus製品がその成功の一助を担えたことを誇りに思います。

 

Technical Keyword

COBOLによる大規模な証券システム新規開発
中国のSIerによるオフショア開発プロジェクト

ユーザープロフィール

株式会社野村総合研究所

本社所在地:東京都千代田区大手町2-2-1
新大手町ビル
創業:1965年4月
資本金:186億円
売上高:2,327億円(2003年3月期 連結)
従業員数:3,279人(NRIグループ4,619人)
(2003年3月31日現在)
事業内容:システムソリューションサービス、コンサルティング・ナレッジサービスの提供
URL:http://www.nri.co.jp/

-----