チュートリアル:クラウドへの Hello COBOL World のパブリッシング

このチュートリアルでは、「Hello COBOL World」クラウド・サービスを作成し、それを Windows Azure にディプロイして実行する手順を説明します。手順の概要は次のとおりです。

  1. クラウド・サービスと Web ロールを含む COBOL クラウド・ソリューションを作成します。
  2. 「Hello COBOL World」のコードを Web ロールに追加します。
  3. コンピューティング・エミュレータでサービスを実行しデバッグします。
  4. サービスをクラウドにパブリッシュしディプロイします。
  5. クラウド上で実行しているサービスを表示します。
  6. Windows Azure 内を整理します。

COBOL クラウド・ソリューションの作成

次の手順のように、まず IDE に含まれている COBOL クラウド・テンプレートを使用して COBOL クラウド・ソリューションを作成し、Web ロールのみを選択します。

  1. Visual Studio を管理者として実行します。これを行うには、[スタート > すべてのプログラム > Micro Focus Enterprise Developer] に進み、[Enterprise Developer for Visual Studio 2012] を右クリックして [管理者として実行] をクリックします。
  2. [ファイル > 新規作成 > プロジェクト] をクリックします。
  3. [COBOL] を展開し、[Cloud] をクリックします。[Cloud] をクリックすると、[Windows Azure クラウド サービス] オプションが表示されます。代わりに [Enable Windows Azure Tools] オプションが表示される場合は、Windows Azure の前提条件のソフトウェアがありません。この場合、[Enable Windows Azure Tools] を選択して [OK] をクリックし Microsoft Web サイトにアクセスして、インストールする必要があるソフトウェアをダウンロードします。必要な Windows Azure ソフトウェアの詳細については、『Additional Software Requirements』を参照してください。
  4. 「Hello COBOL World」などのプロジェクトの名前を入力し、ソリューションの名前と場所を入力します。[OK] をクリックします。
  5. [ASP.NET Web ロール] を選択して Web ロールのみを作成します。[>]、[OK] の順にクリックします。

新しく作成したソリューションには 2 つのプロジェクトが含まれています。それらはクラウド・サービスのプロジェクトと Web ロールのプロジェクトです。サービス・プロジェクトにはサービス構成ファイルと定義ファイル、および関連する Web ロールが含まれています。これらはいずれもソリューション・エクスプローラで表示できます。

Web ロールでのコードの編集

このシンプルなサービスでは、次のように「Hello COBOL World」のテキストを追加します。

  1. Web ロール・プロジェクトで、Default.apsx ファイルを開きます。
  2. [デザイナー] ビューで、Hello COBOL World のようなテキストを追加します。またボタンや他の UI コントロールをツールボックスから追加できます。
  3. ファイルを保存します。

サービスの実行とデバッグ

この時点で、次のようにソリューションをビルドして、コンピューティング・エミュレータでローカルでテストできます。

  1. ソリューションをビルドします。これは、[ビルド] メニューから行います。
  2. デバッグを開始します。これは、[デバッグ] メニューから行います。

    これにより、ローカル開発環境のコンピューティング・エミュレータが起動します。コンピューティング・エミュレータは初回の起動時にはある程度時間がかかることがあります。

    次にアプリケーションが実行し、該当する場合、Web ブラウザが開いて Web ページが表示されます。

  3. コンピューティング・エミュレータの UI を表示します。これを行うには、Windows のタスクバーまたは通知領域で Windows Azure エミュレータ・アイコンを右クリックし、[Show Compute Emulator UI] をクリックします。

    コンピューティング・エミュレータで、実行中のアプリケーションを監視し、必要に応じてアプリケーションを起動および停止します。トレース・メッセージがコンピューティング・エミュレータに表示され、アプリケーションの基本的な機能を確認できます。

Windows Azure へのパブリッシュとディプロイ

サービスをクラウドにディプロイするには、まず Windows Azure アカウントを作成する必要があります。また Visual Studio から直接ディプロイする前に、Visual Studio が Windows Azure を使用して資格情報を認証できるように、次の項目を作成する必要があります。

  • Windows Azure サブスクリプション
  • Windows Azure クラウド・サービス
  • Windows Azure ストレージ・アカウント

アカウントと上述の項目を Windows Azure Developer Portal で作成します。

Windows Azure にパブリッシュしてディプロイするには、次の手順を行います。

  1. [Build > Publish ソリューション名] をクリックして、ソリューションをパブリッシュします。今回が Windows Azure にディプロイした初回の場合、[Choose your subscription] ドロップダウン・リストには項目が何も含まれていません。その場合、[Sign in to download credentials] をクリックして Windows Azure アカウント資格情報を含んでいるファイルを作成してダウンロードします。このファイルをダウンロードしたら、[Import] をクリックしてファイルをロードします。これで、Windows Azure サブスクリプションの詳細が [Choose your subscription] ドロップダウン・リストに表示されます。
  2. 必要な Windows Azure サブスクリプションが [Choose your subscription] ドロップダウン・リストで選択されていることを確認し、[Next] をクリックします。
  3. 表示されている設定が、使用する Windows Azure セットアップに対して正しい設定であることを確認し、[Next] をクリックします。
  4. パブリッシュのサマリによって表示される詳細が、使用する Windows Azure セットアップに対して正しいことを確認し、[Publish] をクリックします。
Windows Azure アクティビティ・ログにパブリッシュとディプロイのステータスが表示されます。ディプロイには数分かかる場合があります。

クラウド上で実行しているサービスの表示

サービスをディプロイしたら、その実行状況をクラウドで確認できます。正常であれば、コンピューティング・エミュレータを使用してデバッグしたときのような動作がそのまま表示されます。
  1. Windows Azure アクティビティ・ログで、サービスのディプロイのエントリを展開します。サービスとそのステータスについての各種の情報が表示されます。
  2. Website URL の見出し直下のリンクをクリックします。Web ブラウザが開き Web ページが表示されます。正常であれば、コンピューティング・エミュレータを使用してデバッグしたときの動作がそのまま表示されます。

Windows Azure 内の整理

サービスの使用を終えたら、そのディプロイを停止し Windows Azure から削除する必要があります。停止しないと、使用していないステータスでも課金が継続します。ディプロイを停止して削除した後に、Windows Azure でサービスを再び実行する必要がある場合は、パブリッシュおよびディプロイを再度容易に行うことができます。
  1. ディプロイを停止します。これによりディプロイが停止しますが、停止状態でも各ロール・インスタンスに課金されます。
  2. ディプロイを削除します。