Enterprise Developer 2.2 の新機能

注: インストールした 2 種類の Enterprise Developer の間には違いがあります。Enterprise Developer Personal Edition は、メインフレーム環境の外部で COBOL およびメインフレーム プログラムの解析、編集、および構文チェックをサポートする、開発環境を提供します。ただし、このエディションでは、プロジェクトのオフメインフレーム デバッグ、ユニット テスト、およびビルドはサポートされていません。デモンストレーション アプリケーションをビルド、デバッグ、および実行するには、Enterprise Developer が必要です。

COBOL コピーブック プロジェクト タイプ

COBOL Copybook および Remote COBOL Copybook プロジェクト タイプを使用して、複数のコピーブック ファイルを保持できます。このプロジェクト タイプは、依存プロジェクトとしてその他のソース プロジェクトのビルド パスに追加できます。コピーブック プロジェクトはコンパイルされないため、処理時間とリソースを節約できます。

上記のプロジェクトでは、既存の .cpy および .cbl ファイルを追加したり、新規作成したりするだけですが、.cbl 拡張子の付いたファイルはコピーブックとして扱われます。

COBOL ソース情報 (CSI)

COBOL ソース情報 (CSI) は、プログラムに対して作業を行っている際に、そのプログラムに関する情報を素早く簡単に提供する手段を提供します。[Quick Browse] ダイアログ ボックスにクエリを入力すると、CSI はそのクエリに対する結果を [Search] ビューに返します。

コンパイラ指令

次のコンパイラ指令が新規導入されました。

ACU-UNDERSCORE
この指令は、COBOL 言語のアンダースコアをハイフンとして扱います。
ILSHOWPERFORMOVERLAP
このマネージ COBOL のみの指令は、プログラムで PERFORM 範囲の重複が検出された場合に、警告を生成します。
ILEXPONENTIATION
このマネージ COBOL のみの指令では、使用する計算方法を指定することで、指数算術演算を最適化できます。
EXITPROGRAM
この指令は、EXIT PROGRAM 文の実行方法を決定します。

次のコンパイラ指令が変更されました。

CHANGE-MESSAGE
この指令の範囲が拡大され、構文チェック メッセージだけでなく、さまざまなタイプのエラー メッセージの重大度を変更できるようになりました。
DIALECT"RM"
DIALECT"RM" は PERFORM-TYPE"RM" をセットするようになりました。DIALECT"RM" を使用するアプリケーションを再コンパイルした場合、ネストされた PERFORM 文の動作が変わる場合があります。その場合、DIALECT"RM" の後に PERFORM-TYPE"MF" を明示的にセットすると、以前の動作が続行されます。
HIDE-MESSAGE
この指令の範囲が拡大され、構文チェック メッセージだけでなく、さまざまなタイプのエラー メッセージを非表示にできるようになりました。
PRESERVECASE
この指令は、ネイティブ COBOL をコンパイルする際、PRESERVECASE がデフォルトになりました (マネージ COBOL のコンパイルでは、以前からデフォルトは PRESERVECASE でした)。これにより、外部から見える識別子は大文字に変換されることなく、大文字小文字の区別を維持できるようになりました。

コピーブック パス ダイアログ ボックスの統合

プロジェクトのプロパティ ダイアログ ボックスの [Dependency Paths] ページのみで、COBOL、IMS、および PL/I のコピーブック (プロジェクト タイプで使用できるもの) のパスを設定できるようになりました。

統合化トレース機能

統合化トレース機能 (Consolidated Tracing Facility; CTF) が、次のように変更されました。

JVM COBOL アプリケーション用 CTF

JVM COBOL アプリケーションで、CTF トレーシングがサポートされるようになりました。

エミッター

新しいエミッターの JAVALOGGER が、JVM COBOL で使用できます。

エミッターのプロパティと変数

既存のエミッターに、次のサポートが追加されました。

BINFILE エミッターに、次のプロパティが追加されました。

プロパティ 説明
RunUnitID RunUnit 情報をトレースに含めるかどうかを制御します。

BINFILE および TEXTFILE エミッターで、FILE プロパティに 4 つの新しい疑似変数が追加されました。

疑似変数 説明
$(PLATFORM) プラットフォーム固有の定数。同じ処理を行っている 2 つのランタイム システムに対して、それぞれトレース ファイルが必要な場合に役立ちます。
$(RUNUNIT) マネージ RunUnit ID を表す一意の番号
$(RUNUNIT_SESSIONNAME) マネージ RunUnit に渡されるセッション名
$(RUNUNIT_GUID) マネージ RunUnit に関連付けられた、グローバルで一意の識別子

マニュアル

このリリースでの製品ヘルプの更新の中で、特に次のガイドが利用できるようになりました。

『Introduction to Object-Oriented Programming for COBOL developers』
COBOL 開発者向けにオブジェクト指向プログラミング (Object-Oriented Programming; OOP) の基本的な概要を説明したガイドである『An Introduction to Object-Oriented Programming for COBOL Developers』とその例が、Micro Focus SupportLine Web サイトの Product Documentation セクションから入手できるようになりました。こちらをクリックしてダウンロードしてください

Eclipse 3.8

Enterprise Developer は Eclipse 3.8 に同梱されます。また、Eclipse 3.7 および 3.8 の既存のインスタンスにもインストールできます。

IDE とのエンタープライズ サーバー統合の機能拡張

このリリースでは、次の拡張機能が提供されています。

  • サーバー エクスプローラー ウィンドウから、直接テンプレートを使用してサーバーを作成できます。
  • デバッグを開始したときに、自動的に関連するサーバーが起動されます。これにより、そのサーバーのダイナミック デバッグが可能になっています。
  • [COBOL Explorer] で、プロジェクトのコンテキスト メニューから関連するサーバーのスプールとカタログを表示できます。
  • プロジェクトが既存のエンタープライズ サーバーと一切関連付けられていない場合に、一時サーバーを使用してアプリケーションをデバッグできます。

ファイル処理

次のような新機能が導入されました。

  • DATEDIFF 関数は、DFSORT エミュレーションの一部としてサポートされています。Enterprise Developer では、その使用にいくつかの制限事項があります。
  • Data File ツールを使用した、Vision および RM/COBOL 索引付きデータ ファイルの変換および編集がサポートされるようになりました。
  • AcuServer を経由した、データ ファイル (順次または索引付き) へのアクセスがサポートされるようになりました。
  • エンタープライズ サーバーを経由した、Vision および RM/COBOL 索引付きデータ ファイルへのアクセスがサポートされるようになりました。

SQL Server 用 HCO (HCO for SQL Server; HCOSS)

HCOSS ツール セットに、複数の更新があります。
DB2 データベースのバッチ移行
標準の HCOSS データベース移行ツールの代わりに、このバッチ ユーティリティのセットを使用することができます。
注:この機能は、初期採用者向けリリース ステータスにあります。最終的に完成した機能は、将来のリリースで提供する予定です。詳細については、Micro Focus SupportLine までお問い合わせください。
Schema Extract ツール
このツールは、次の機能を提供します。
  • カタログにアクセスしなくても、抽出されたスキーマをユーザーが調べることができるようにした、更新されたセキュリティ
  • 抽出したスキーマの変更
  • エクスポートおよびインポート機能
Application Assessment ツール
このツールを使用することで、スキーマ抽出ファイルでデータ解析を実行し、SQL Server ではサポートされていない構造体を特定したり、HCOSS が正確に SQL Server にデータを転送できるようにするために、手作業による変更が必要な構造体を特定したりできるようになりました。
OPTION SQL コンパイラ指令オプション
追加のホスト変数タイプを処理できるように、新しいパラメーターが追加されました。

IMTK

IMTK ユーザービリティの改良
Interface Mapping Toolkit (IMTK) のパースペクティブおよび関連するビューとコマンドが削除され、その機能が COBOL パースペクティブに統合されました。
EJB トランザクション
トランザクションとして実行される EJB サービスがサポートされるようになりました。

IMS

データベース回復
新しい IMS Database Forward Recovery 機能および Rollback Recovery 機能を使用した、IMS データベース回復がサポートされるようになりました。これらの機能は、最後に更新された状態に IMS データベースを完全に復元することを可能にした、バックアップおよび復元ユーティリティのセットで構成されています。
ロックの向上
Internal Resource Lock Manager (IRLM) のサポートが追加され、よりきめ細かいロック機能が提供されるようになりました、これにより、より多くの共有が可能になり、さらに競合およびデッドロック リスクが低減されます。

Java Web サービスのサポート

Enterprise Developer は、JVM COBOL Web アーカイブの開発、コンパイル、デバッグ、および JVM サーブレット API や一般的な Java Enterprise Edition (JEE) アプリケーション サーバーへのディプロイをサポートしています。

JVM COBOL Web サービスのサポート

JSP およびサーブレットからの COBOL プログラムの呼び出しのサポートが拡張され、より多くの COBOL 機能、改良された IDE ツール、およびより多くのランタイム サポートが提供されるようになりました。

Drag and Drop

このリリースでは、従来のスタンドアロン バージョンの Drag and Drop をベースとした、統合 Drag and Drop ユーティリティを提供しています。これにより、Micro Focus Mainframe Explorer を使用した、IDE とメインフレーム間でのファイル転送が可能になりました。また、このバージョンでは、メインフレーム ファイルの表示と編集が可能です。

スタンドアロン バージョンは、コマンド ラインの mfdasmx2 コマンドでは呼び出すことができなくなりました。代わりに、mfdasmx コマンドを使用してください。

メインフレーム スニペット

Mainframe Subsystem アプリケーションで、コードに EXEC CICS 文および EXEC DLI 文を挿入するコード スニペットが複数使用できるようになりました。エディタのコンテキスト メニューから、またはControl + Space を押してキーワードを選択することによって、コード スニペットを挿入できます。IDE の [Window > Preferences > Micro Focus > COBOL > Editor > Templates] から、メインフレーム スニペットのキーワードを変更できます。

Mainframe Subsystem Support

JCL システム カタログ
JCL プロシージャ内の DD に、インストリーム データを使用できるようになりました。この変更により、最近同様の変更を導入したメインフレーム JCL 処理との互換性が維持されています。
JCL パブリック カタログ API
JES カタログ情報にアクセスし、更新できるようになりました。
CICS TRANCLASS リソース
Enterprise Server Monitor and Control (ESMAC) コンソールで、トランザクション クラス リソースを定義できるようになりました。

トランザクション クラスに属していると定義されたトランザクションは、スケジューリング制約の対象にならないと、実行が許可されません。アクティブなトランザクション クラスに属しているトランザクションが実行中の場合は、新しいトランザクションはキューに追加されます。

CICS External Call Interface (ECI)
Micro Focus 独自の CICS External Call Interface (ECI) のサポートが機能拡張されました。ECI は Micro Focus BINP プロトコルを使用するため、サードパーティ製のミドルウェアが不要になりました。追加の機能には、拡張 LUW (論理作業単位) および Java クライアントの新規サポートなどがあります。詳細については、『IBM External Call Interface (ECI) and External Presentation Interface (EPI)』 を参照してください。

PL/I サポート

  • EBCDIC サポート
  • XML のサポート (XMLCHAR、PLISAXA、PLISAXB、および PLISAXC を使用)
  • EXEC DLI を使用して記述されたプログラムのプリプロセッサ サポート
  • MQ Series を実行する PL/I プログラムのサポート
  • DB2 ストアド プロシージャとして実行される Open PL/I のサポート

[Problems] ビュー

[Problems] ビューに、問題が発生したプログラムの名前を表示する 'Program' 列が追加されました。プログラムごとにエラーをソートするには、この列の見出しをクリックしてください。

[Problems] ビュー

デフォルトではビューにこの列が表示されていない場合は、[View Menu] の [Configure Columns] ダイアログ ボックスから追加できます。

欠落しているコピーブックのクイックフィックス

コピーブックが含まれるパスがプロジェクトに追加された場合、そのパスが自動的にコピーパスに追加されることはありません。これにより、コピーブックがプロジェクト内に存在しても、プログラムがコンパイルされていない場合に、混乱が生じる可能性があります。Eclipse Quickfix 機能により、問題解決のヒントと、ソリューション (コピーパスへのパスの追加) が提供されるようになりました。

SQL

Eclipse IDE
SQL ツールが Eclipse IDE に統合されました。
  • HCO for SQL Server ツール
  • OpenESQL Assistant
  • DB2、XDB、および OpenESQL 文のバックグラウンド解析のレベルのオプション
EXEC SQL GET DIAGNOSTICS 文
最後に実行された OpenESQL 文の診断情報を取得できます。
外部コンパイラー モジュール (External Compiler Module; ECM)
ECM のサポートが拡張され、OpenESQL、DB2 LUW 用の HCO および XDB も対象になりました。
OPTION コンパイラ指令オプション
追加のホスト変数タイプを処理できるように、新しいパラメーターが追加されました。
XA スイッチ モジュール
XA オープン ストリングで指定されているユーザー資格情報とは異なる資格情報を使用して、Microsoft SQL Server で CICS 始動型トランザクションおよびJES 始動型トランザクションを実行できるようにする、XA スイッチ モジュールがサポートされるようになりました。

コピーブック依存性の表示

[COBOL Explorer] でソース ファイル ノードを展開することで、ソース コードで参照されているすべてのコピーブック、およびそれらのコピーブックで参照されている、ネストされたその他すべてのコピーブックのリストを表示できます。

また、[Copybook Dependency] ビューを使用して、ソース ファイルの構造体のどこに COPY 文が出現し、その文がどのコピーブックを参照しているかを表示できます。

[Copybook Dependency] ビューでコピーブック リファレンスをクリックし、適切な行に関連する COPY 文を含むファイルを開きます。

[COBOL Explorer] または [Copybook Dependency] ビューでコピーブック リファレンスをダブルクリックし、コピーブック ファイルを開きます。