XML 拡張の概要

Enterprise Developer の XML 拡張により、Enterprise Developer アプリケーションは拡張マークアップ言語 (XML) 標準を使用する他のアプリケーションと自由に簡単に相互運用できるようになります。これを実現するために、XML 拡張では、COBOL データ モデルと XML データ モデルの類似点を活用して、COBOL を「XML エンジン」に変えます。この目標の最も重要な点は、標準の COBOL データ構造との間で XML ドキュメントをインポートおよびエクスポートできることです。

注:COBOL データ構造とは、このドキュメントにおいては、COBOL データ項目のことです。通常、これは集団データ項目ですが、場合により、単一の基本データ項目であることもあります。Enterprise Developer コンパイラの XMLGEN 指令により、モデル ファイルと呼ばれるファイルになる XML 形式のシンボル テーブルが生成されます。XML 形式のシンボル テーブルは、XML 拡張文で指定された COBOL データ構造と COBOL データ構造の XML 表現との間のマップを提供します。このマップを使用して、実行時に任意の方向にデータを移動できます。XML データ表現の Extensible Stylesheet Language Transformations (XSLT; 拡張スタイルシート言語変換) を使用すると、XML 要素名と COBOL データ名が異なる場合にそれらの名前を一致させることができます。

XML 拡張では、標準の COBOL データ構造を XML ドキュメントとの間でインポートおよびエクスポートできるようにすることで、COBOL アプリケーション プログラマーによる XML ベースの電子ドキュメントの直接処理および操作を可能にします。また、アプリケーション プログラマーは、XML 拡張が提供するこの機能を利用するために、XML 関連のさまざまな仕様についてや、整形式の XML を生成および使用するために必要な時間のかかるプロセスについて精通する必要もありません。

具体的には、単一の単純な COBOL 文を使用して COBOL プログラムの制御下で XML ドキュメントを COBOL データ構造にインポートでき、同様に、COBOL データ構造の内容を使用して XML ドキュメントを簡単に生成することもできます。XML 拡張による方法では、単純な構造も非常に複雑な構造も簡単に処理されます。個々のデータ要素は、COBOL の内部データ型と XML で使用される外部コーディングとの間で必要に応じて自動的に変換されます。この変換時には、XML との間での移行を実行できるだけでなく、XSLT を使用してコーディングされた強力な変換も同時に適用できます。この強力なメカニズムによって、XML 拡張は、広範な電子商取引および Web アプリケーションで必要とされる機能を実現します。

この強力なドキュメント処理機能を COBOL アプリケーションに追加するためにプログラマーに求められるのは、COBOL データ定義として外部コンポーネントとの間で送受信される情報を記述することだけです。多くの場合、この記述は、単に、COBOL アプリケーションで定義された既存のデータ領域となります。