複数の実行単位および .NET の背景

ASP.NET や WCF サービスなどの .NET サーバー アプリケーションは、通常は複数のユーザーが使用し、その各ユーザーが他のユーザーと同時にセッションを実行します。これに対し、COBOL アプリケーションでは従来、それぞれが独立した単一セッションで実行されます。.NET では、サーバー アプリケーションがアプリケーション ドメインによって実行および制御されます。各アプリケーション ドメインは、同時に複数のアプリケーション インスタンスを実行できます。

デフォルトでは、手続き型 COBOL アプリケーションがアプリケーション ドメイン内で実行されると、そのアプリケーションはデフォルトの COBOL 実行単位内で実行され、定義上同じアドレス空間を共有する複数のスレッドが使用されます。このようなアプリケーションが同時に何度か実行されると、同じ実行単位が使用され、結果的にすべての実行で同じデータが共有されるため、問題が発生する可能性があります。

マルチユーザー環境では、COBOL アプリケーションは、アプリケーションの各インスタンスが専用の実行単位で実行されるように、複数の実行単位を使用する必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。

• 呼び出し先の COBOL をコンパイルします。手続き型 COBOL プログラムの場合は、デフォルトの NOILSTATIC 指令を使用します。この指令により、作成される COBOL クラスがすべて実行単位に含まれます。
• 専用の実行単位内で COBOL プログラムを呼び出します。これを行うには、呼び出し元のプログラムで実行単位を 1 つ作成して、そのプログラムを含む COBOL 型のインスタンスを 1 つ作成します。これにより、プログラムのインスタンスをその新しい実行単位内で起動できます。
• Micro Focus Runtime (Interop RuntimeServices) アセンブリ (プロジェクトでは MicroFocus.COBOL.RuntimeServices への参照となる) への参照の追加によって、複数の実行単位のランタイム サポートを使用できるようにします。

既存の手続き型 COBOL は変更されません。

REENTRANT または ILSTATIC 指令でコンパイルしない限り、すべての COBOL プログラム、またはインスタンス データ/メソッドを持つ COBOL クラスを、複数の実行単位で使用できます。