高度な再開機能

casout コマンドで /jrestart パラメーターを使用してジョブを再開する際、パラメーターの指定でステップ、プロシージャ、条件、MF_UCC11 の値などを識別または変更できます。

重複するステップ名を含むジョブで再開するステップを識別
ジョブに重複するステップ名が含まれている場合、#f パラメーターと <step-name> および <proc-step-name> (オプション) を次の形式で使用して開始するジョブを指定できます。
casout /r<Servername>
/jrestart:<job-number>#f<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>]

次に例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)

3 番目の STEP2 のステップ内の最初の PSTEP1 からジョブを再開します。

再開時に MF_UCC11 環境変数の値を変更
再開時に MF_UCC11 の値を変更するには、#m パラメーターを使用します。次に例を示します。
casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#mY

#m の有効な値は次のとおりです。

Y
MF_UCC11 の処理をオンにする (MF_UCC11=Y と同じ)
N
MF_UCC11 の処理をオフにする (MF_UCC11=N と同じ)
M
MF_UCC11 の処理を MOD に設定する (MF_UCC11=M と同じ)

この環境変数の詳細については、「ジョブの再起動機能の有効化」および「MF_UCC11」を参照してください。

終了するステップを識別
再開したジョブを終了するステップを識別するには、#t パラメーターを次の形式で使用します。
casout /r<Servername>
/jrestart:<job-number>#f<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>]#t<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>]

次に例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#tSTEP4(1):PSTEP(2)

3 番目の STEP2 のステップ内の最初の PSTEP からジョブ 1006 を再開し、最初の STEP4 のステップ内の 2 番目の PSTEP までで実行を終了します。終了ステップは実行に含まれます。

前回実行時の条件コードおよび異常終了コードを使用して再開
異常終了および条件コード回復 (ACR) を使用すると、ジョブを再開するときに #k パラメーターを使用して前回実行時のステップの COND コードと ABEND コードを使用できます。

#k パラメーターには 2 つのフィールドがあります。1 つ目は前回の ABEND コードを使用するかどうかを示し、2 つ目は前回の COND コードを使用するかどうかを示します。

#k<abend-field><condition-field>

両方のフィールドの許容される値は次のとおりです。

Y
前回のコードを使用します。
N
前回のコードを使用しません。
R
RC=0 にリセットします。
D
デフォルトです。Y と同じです。
値なし
デフォルトが使用されます。

次に例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#tSTEP4(1):PSTEP(2)#kRY

前回の実行で異常終了したステップを RC=0 にリセットし、それ以外のステップについては前回実行時の COND コードを維持します。

ステップ固有の条件コードを使用して再開
#c パラメーターを ACR オプションの補足として使用するか単独で使用して、個々の COND コードを指定したり、前回のすべての COND コードを使用するように指定したりできます。これらのオプションを使用すると、開発者やシステム エンジニアがジョブを再実行する際に、以降の条件の評価で使用するステップの COND コードを簡単に変更できます。#c パラメーターは、ステップ名、プロシージャ名、およびステップのインスタンス番号 (オプション) と使用する値を識別します。
#c{STEP<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>] | $ALL}:value}[...]
value は 1 から 255 (ジョブの最大ステップ数) までの任意の数値です。

次に例を示します。

#cSTEP20(3):PSTEP10(2):1

3 番目の STEP20 にある 2 番目の PSTEP10 の COND コードを値 1 に設定します。

次に、#c パラメーターを casout /jrestart および他のオプションとともに使用した例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)
#tSTEP4(1):PSTEP(2)#c$ALL:5#cSTEP20(1):4
#cSTEP20(3):10

この例では、すべてのステップの COND コードを 5 に設定してから、最初の STEP20 の値を 4 に設定し、3 番目の STEP20 の値を 10 に設定しています。

再開の自動調整
再開ステップの自動調整では、それよりも前のバイパスされたステップで作成されたはずのデータセットを考慮して、以降のステップに必要なデータセットが調整されます。自動調整を使用するかどうかは #a パラメーターで決まります。デフォルトは Y で、自動調整がオンになります。 N 自動調整をオフにします。次に例を示します。
casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#aY 

STEP2(3):PSTEP(1) 以降で使用されるデータセットを探して定義されている場所を特定し、それに応じて再開するステップとプロックステップを調整します。デフォルトは #aY であるため、#a パラメーターを省略した場合も同じ動作になります。#aN を使用した場合は、自動調整は実行されません。

注: casout の構文では、スラッシュ (/) またはハイフンのいずれかを使用してパラメーターの開始位置を示すことができます。次に例を示します。
cassub -rTST -jTEST1.JCL -jrestart:1006#fSTEP3

これは次と同等です。

cassub /rTST -jTEST1.JCL /jrestart:1006#fSTEP3