互換性のないアップグレード プロセス

Patch Update の Readme 資料には、互換性のないアップグレード プロセスを使用する必要があるかどうかが示されています。互換性のないアップグレード プロセスでは、セカンダリ PAC を作成し、各エンタープライズ サーバー リージョンを元の PAC から新しい PAC に移行する必要があります。新しい PAC に移行したら、各エンタープライズ サーバー リージョンに対してアップグレード プロセスを実行します。このプロセス中、両方の PAC で同じリージョン間データベースおよびデータストアが共有されます。
注: TSQ および TDQ は、PSOR ではなく別々の SOR に格納する必要があります。

この例では、エンタープライズ サーバー リージョンを、MYPAC という名前の PAC (MYPSOR という名前の PSOR を使用) から MYPAC2 という名前の新しい PAC (MYPSOR2 という名前の PSOR を使用) に切り替えます。

  1. セカンダリ PAC を構成します。Micro Focus では、最初の PAC にある最初のエンタープライズ サーバー リージョンのアップグレードを開始する前に、セカンダリ PAC を可能な限り準備しておくことをお勧めします。セカンダリ PAC には、新しい PSOR およびリージョン データベースが必要です。新しい PAC には、新しい MFDBFH 構成ファイルも必要になります。詳細については、「PAC の必須コンポーネントの構成」を参照してください。
    注: PAC が TS キューおよび TD キューを追加の SOR に格納するように構成されている場合は、PSOR に対して実行する手順を繰り返す必要があります。

    互換性のないアップグレード プロセス
    ESCWA を使用して、MYPAC2 という名前の新しい PAC および MYPSOR2 という名前の新しい PSOR を構成します。新しい PSOR を新しい PAC に関連付けます。詳細については、「ESCWA での PSOR の構成」を参照してください。新しい PSOR は、新しい PAC が最初にコールド スタートされたときに自動的に作成されます。
    注: 新しい PSOR では、新しい NoSQL データベース サーバー インスタンス (通常は Redis) をインストール、構成、および実行する必要があります。両方の NoSQL データベースが同じマシンにインストールされている場合は、新しいインスタンスを別のポートで実行する必要があります。

    新しい PAC および新しいリージョン データベースを参照する新しい MFDBFH 構成ファイルを作成します。詳細については、「MFDBFH 構成ファイルの作成」を参照してください。新しい MFDBFH 構成ファイルは、既存の PAC で使用されている構成ファイルと同様のものにする必要があります。新しい構成ファイルは、新しいリージョン データベースを参照する必要があります。また、新しいリージョン データベースにアクセスするための新しい ODBC データ ソースも必要になります。詳細については、「データベース接続の構成」を参照してください。アップグレード対象の各エンタープライズ サーバー リージョン マシンでこれらの変更が必要になります。

  2. リージョン 1 への新規のクライアント接続を停止します。これを行うには、エンタープライズ サーバー リスナーを無効にするか、ロード バランサーの構成を変更するか、その両方を行います。詳細については、「PAC アップグレード時のクライアント接続の管理」を参照してください。
  3. リージョン 1 を停止します。ESCWA を使用してエンタープライズ サーバー リージョンを適切に停止します。これにより、既存のクライアント接続がすべて終了します。アクティブなクライアント接続は [CLIENT LIST] ページで確認できます。ナビゲーション タブで、目的のエンタープライズ サーバー リージョンをクリックし、[MONITOR > Client] をクリックします。
    注: アクティブなクライアント接続があるエンタープライズ サーバー リージョンは、停止に時間がかかることがあります。そのため、「Stopped」と報告されるまで「Not Responding」というメッセージが表示される可能性があります。アクティブなクライアント接続があるエンタープライズ サーバー リージョンを停止すると、通信ログにエラーが記録される場合があります。
  4. リージョン 1 にアップデートまたはパッチを適用します。
  5. リージョン 1 のマシンに Micro Focus Directory Server (MFDS) の構成をバックアップから復元します。
    注: Enterprise Developer 6.0 以降では、Patch Update のインストーラーで MFDS の構成が自動的に保持されるため、この処理は必要ありません。
  6. dbfhadmin ユーティリティを使用して、新しい PAC のリージョン データベースを作成します。アップグレードされたリージョン 1 ホストからこのユーティリティを実行できます。Patch Update の一環として dbfhadmin ユーティリティがアップグレードされている場合は、Patch Update がすでに適用されており、アップグレード中の PAC に依存しないマシンから dbfhadmin ユーティリティを実行する必要があります。この方法を実施できない場合は、アップデートのインストール後に、エンタープライズ サーバー マシンから新しい PAC のリージョン データベースの作成を実行する必要があります。詳細については、「リージョン データベースの作成」を参照してください。

    Micro Focus では、この時点で、新しいリージョン データベースへの ODBC データ接続を確認することをお勧めします。UNIX では、isql などのツールを使用して接続を確認できます。Windows では、ODBC データ ソース アドミニストレーター ユーティリティを使用して接続を確認できます。

  7. ESCWA を使用して、リージョン 1 を新しい PAC である MYPAC2 にインストールします。詳細については、「リージョンへの PAC 定義のインストール」を参照してください。ESCWA を使用して、リージョン 1 が新しい PAC および PSOR をポイントしていることを確認します。
    1. メニュー バーで、[NATIVE] をクリックします。
    2. ナビゲーション ペインで、[Directory Servers] を展開します。
    3. 確認するリージョンをクリックします。
    4. [GENERAL PROPERTIES] ページで、[SCALE-OUT CONFIGURATION] グループの情報を確認します。
    重要: 新しい MFDBFH 構成ファイルをポイントするように、MFDBFH_CONFIG 環境変数を更新する必要があります。[Configuration Information] フィールドで MFDBFH_CONFIG 環境変数を変更します。次に例を示します。
    [ES-Environment]
    MFDBFH_CONFIG=/home/hub/MYPAC2/MFDBFH2.cfg
  8. リージョン 1 をコールド モードで起動します。ESCWA の [Region Start Options] ダイアログ ボックスで、[Cold Start] をオンにしてエンタープライズ サーバー リージョンを起動します。エンタープライズ サーバー リージョンを起動すると、新しい PAC が初期化され、新しい PSOR が作成されます。

    この時点で、新しい PAC は既存の PAC と並行して実行されています。ただし、リージョン 1 ではクライアント接続の受信が有効になっていません。


    互換性のないアップグレード プロセス - アップグレードされたリージョン 1
  9. リージョン 2 へのクライアント接続を無効にします。
  10. ロード バランサーまたはエンタープライズ サーバー リスナー (あるいはその両方) を介したリージョン 1 のクライアント接続を有効にします。詳細については、「PAC アップグレード時のクライアント接続の管理」を参照してください。
  11. リージョン 2 について、手順 2 から 5 および 7 を繰り返します。
  12. リージョン 2 をウォーム モードで起動します。ESCWA の [Region Start Options] ダイアログ ボックスで、[Cold Start] をオフにしてエンタープライズ サーバー リージョンを起動します。起動したら、エンタープライズ サーバー リージョンが PAC に参加していることを確認します。コンソール ログに次のようなメッセージが表示されます。
    CASSI1432I Joining PAC MYPAC2. 14:46:19
  13. リージョン 2 のエンタープライズ サーバー リスナーを有効にし、リージョン 2 へのクライアント接続を確立するようにロード バランサーを構成します。詳細については、「PAC アップグレード時のクライアント接続の管理」を参照してください。
    注: 複数のエンタープライズ サーバー リージョンをまとめてアップグレードする場合は、この手順をこの時点で実行しない方が望ましいこともあります。これは、接続しているクライアントの中断を最小限に抑えるためです。

    この時点で、新しい PAC のすべてのエンタープライズ サーバー リージョンがアップグレードされて実行された状態になります。


    互換性のないアップグレード プロセス - アップグレードされたリージョン 2
  14. 元の PAC および PSOR に残っているものは不要になり、使用を停止できます。残りの構成を、ESCWA と PSOR NoSQL サーバーおよび元のリージョン データベースから削除します。