互換アップグレード プロセス

重要: 対応する Patch Update の ReadMe で、互換アップグレード プロセスに該当する状況であることを確認してください。

互換アップグレード プロセスでは、更新の適用中に異なるバージョンの製品を実行しているエンタープライズ サーバー リージョンの一時的な共存が可能です。そのため、PAC の実行を完全に停止する必要はありません。

  1. リージョン 1 への新規のクライアント接続を停止します。これを行うには、エンタープライズ サーバー リスナーを無効にするか、ロード バランサーの構成を変更するか、その両方を行います。詳細については、「PAC アップグレード時のクライアント接続の管理」を参照してください。
  2. リージョン 1 を停止します。ESCWA または casstop を使用してエンタープライズ サーバー リージョンを適切に停止します。これにより、既存のクライアント接続がすべて終了します。アクティブなクライアント接続は [CLIENT LIST] ページで確認できます。ナビゲーション タブで、目的のエンタープライズ サーバー リージョンをクリックし、[MONITOR > Client] をクリックします。
    注: アクティブなクライアント接続があるエンタープライズ サーバー リージョンは、停止に時間がかかることがあります。そのため、「Stopped」と報告されるまで「Not Responding」というメッセージが表示される可能性があります。アクティブなクライアント接続があるエンタープライズ サーバー リージョンを停止すると、通信ログにエラーが記録される場合があります。
  3. リージョン 1 のマシンに Patch Update を適用します。
  4. リージョン 1 のマシンに Micro Focus Directory Server (MFDS) の構成をバックアップから復元します。
    注: Enterprise Developer 6.0 以降では、Patch Update のインストーラーで MFDS の構成が自動的に保持されるため、この処理は必要ありません。
  5. スケールアウト リポジトリ (SOR) に、それぞれのエンタープライズ サーバー リージョンで使用しているバージョンに加え、使用している OS のバージョンとビット体系の情報が格納されています。これにより、すべてのエンタープライズ サーバー リージョンが一貫していて正しい状態にあり、整然とした方法で PAC に再参加できることを確認できます。エンタープライズ サーバー リージョンを再起動する前に、[Configuration Information] フィールドで環境変数 ES_PAC_MIN_COMP_CHECK=YES を設定します。次に例を示します。
    [ES-Environment]
    ES_PAC_MIN_COMP_CHECK=YES
    これにより、OS とビット体系のチェックが PAC にリージョンが再参加するときにだけ行われるようになります。
    注: この環境変数は、PAC 全体を停止してコールド スタートを実行する場合は構成から削除できます。
  6. リージョン 1 をウォーム モードで起動します。ESCWA の [Region Start Options] ダイアログ ボックスで、[Cold Start] をオフにしてエンタープライズ サーバー リージョンを起動します。起動したら、エンタープライズ サーバー リージョンが PAC に参加していることを確認します。コンソール ログに次のようなメッセージが表示されます。
    CASSI1432I Joining PAC MYPAC. 14:46:19

    レコード レイアウトの互換性チェックが実行され、互換性のないレコードが見つかった場合はエンタープライズ サーバー リージョンを起動できません。次のようなコンソール メッセージが表示されます。

    PA2105S Region cannot be started because an incompatible record <record type> was found in the PSOR

    <record type> は、TST、CSA、DCT、PCT、FCT などになります。


    互換アップグレード プロセス - リージョン 1 のアップグレード
  7. ロード バランサーまたはエンタープライズ サーバー リスナー (あるいはその両方) を介したリージョン 1 のクライアント接続を有効にします。詳細については、「PAC アップグレード時のクライアント接続の管理」を参照してください。
    注: 複数のエンタープライズ サーバー リージョンをまとめてアップグレードする場合は、この手順をこの時点で実行しない方が望ましいこともあります。これは、接続しているクライアントの中断を最小限に抑えるためです。
  8. リージョン 2 について、手順 1 から 7 を繰り返します。

    これで、両方のエンタープライズ サーバー リージョンがアップグレードされました。


    互換アップグレード プロセス - リージョン 2 のアップグレード
注: この時点で、PAC のすべてのエンタープライズ サーバー リージョンがアップグレードされて実行された状態になります。ただし、環境変数 ES_PAC_MIN_COMP_CHECK=YES が設定されているため、PAC の実行中に使用されているバージョン レベルのチェックは行われません。これは、PAC の長期的な状態としては理想的ではありません。この場合は、「互換性のないアップグレード プロセス」のトピックで説明している手順を使用してアップグレードすることをお勧めします。