ACEE の名前変更

Enterprise Server コンポーネント (エンタープライズ サーバー、MFDS、ESCWA など) にすでにサイン オンしているユーザーのユーザー ID の変更を許可するように、外部セキュリティ機能 (ESF) を構成できます。変更を可能にすると、サイン オンしているユーザーを識別する 1 つ以上の ACEE オブジェクトのユーザー ID または「短い名前」を、ESF 更新要求の処理の一部として更新できます。ESF 更新の効果として、ユーザーの Enterprise Server ID が、エンタープライズ サーバー リージョンの実行中に再起動なしに変更可能となります。

ACEE の名前変更と呼ばれるこの機能には、次の ESF 機能が必要です。
名前マッピング
ACEE の名前変更は、「長い名前」(外部ユーザー名) に関連付けられた「短い名前」(ES ユーザー ID) を変更します。名前マッピングが使用されていない場合は、効果がありません。
LDAP ベースのセキュリティ
ACEE の名前変更は、MLDAP ESM モジュールによって実行される ESF 更新処理の一部として実装されます。エンタープライズ サーバー リージョンまたはその他のコンポーネントで ACEE の名前変更を処理するためには、MLDAP ESM モジュールを使用するセキュリティ マネージャーを少なくとも 1 つは構成して有効にする必要があります。
注: LDAP を使用して名前マッピングを実装する必要はありません。これはセキュリティ マネージャーで提供できます。

ACEE の名前変更は動作の変更であり、システム内の ACEE をスキャンして変更する必要があるため、負荷が高くなる可能性があり、ロックが必要となり、他のプロセスをブロックする場合もあります。したがって、デフォルトでは有効になっていません。有効にするには、LDAP ベースのセキュリティ マネージャーの [Configuration Information] フィールドの [Update] セクションにある rename active users 設定を使用します。詳細については、「MLDAP ESM モジュール」を参照してください。

ACEE の名前変更のワークフロー

  1. 適切なセキュリティ構成のエンタープライズ サーバー リージョンが実行されています。さまざまなユーザーがリージョンにサイン オンしており、ACEE が作成されています。
  2. 管理者が、名前マッピングに使用される外部セキュリティ マネージャー (ESM) のセキュリティ データを変更します。これにより、1 人以上のユーザーが、エンタープライズ サーバー リージョンにサイン オンしたときとは異なる「短い名前」を持つようになります。エンタープライズ サーバー リージョンでこの変更が認識されるようにする必要があります。
  3. 以下に示すように、適切なパラメーターを指定して ESF 更新要求を送信する必要があります。
  4. エンタープライズ サーバー インスタンスは、影響を受ける ACEE を特定し、それらの短い名前を変更して新しい値を反映します。

ESF 更新と ACEE の名前変更

ESF 更新要求にはさまざまなタイプがあります。詳細については、「セキュリティ マネージャーの変更内容の実装」を参照してください。

ACEE の名前変更が有効になっている場合、次のタイプの ESF 更新要求を使用して、ACEE の名前変更を処理できます。

  • Update User (単一ユーザーの更新) 要求は、指定されたユーザーの ACEE の名前変更をチェックして処理します。たとえば、esfupdate ... user USERA は短い名前「USERA」を現在使用している ACEE について ACEE の名前変更をチェックします。
    注: このような要求では、古い短い名前を指定する必要があります。以下のユーザー更新、短い名前、長い名前に関する説明を参照してください。
  • Update Users (複数ユーザーの更新) または Update All (すべて更新) 要求は、すべての ACEE の名前変更をチェックし、見つかったものをすべて処理します。
    注意:
    Update Users または Update All 操作と同様に、これは単一ユーザーの更新要求よりもはるかに負荷が高く、システム内に存在する ACEE の数によっては、Enterprise Server のプロセスがかなりの期間一時停止する可能性があります。

ACEE の名前変更の影響

ACEE の名前変更により、ACEE の ES ユーザー ID が変更されます。これは、Enterprise Server がユーザーを認識する方法です。

ユーザー ID を変更すると、そのユーザー ID に依存するセキュリティまたは権限の設定に影響します。通常、MLDAP ESM モジュールを使用して割り当てられたグループベースの権限は、ユーザーの「長い名前」(Micro Focus ユーザー グループを使用している場合) または Windows グループ (Active Directory グループを使用している場合) に基づいているため影響を受けません。グループベースの権限は、セキュリティ データに対する他の変更によって変更される可能性があり、更新処理で組み込まれる場合があります。

更新要求の古い短い名前、新しい短い名前、および長い名前

この機能が導入される前は、有効にするユーザーの短い名前 (ES ユーザー ID) を使用して ESF Update User 要求を行う必要がありました。

この機能では、名前マッピングを実行している ESM でユーザーの短い名前が変更された場合、古いユーザー ID を ESF Update User 要求で使用して名前変更を処理する必要があります。代わりに Update Users または Update All 要求を使用する場合は、ユーザー名を指定しないため、この問題は発生しません。
要確認: 複数ユーザーとすべての更新は、パフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。

また、この機能では、MLDAP ESM モジュールは Update User 要求で指定されたユーザーの ACEE を見つけられない場合、ACEE を再度検索して、提供された名前と一致する長い名前を持つものを探します。そのため、現在では、ユーザーの長い名前を使用して Update User 要求を実行できるようになりました。

ACEE の名前変更に関する制約事項

ACEE は、短い名前とサインオン グループから生成される主キーによって一意に識別できる必要があります。all-groups モードが有効な場合、サインオン グループは常に「*ALL」となるため、この場合、ACEE は短い名前で一意に識別できる必要があります。

つまり、新しい名前によって既存の ACEE と一致することになる場合は、ACEE の名前を変更できません。この場合、エンタープライズ サーバー リージョンのコンソールにエラー メッセージが示され、名前変更操作が失敗します。

ACEE の名前変更、および一般に ESF 更新では、ACEE のサインオン グループは変更されません。all-groups モードが有効になっていない場合、サインオン グループとして使用されているグループからユーザーを削除しても、そのユーザーの既存の ACEE は変更されません。したがって、エンタープライズ サーバー リージョンが再起動されるまで、ユーザーはそのグループの権限を保持できます。