高度な再開機能

casout コマンドで /jrestart パラメーターを使用してジョブを再開する際、パラメーターの指定でステップ、プロシージャ、条件、MF_UCC11 の値などを識別または変更できます。

Notes:
  • スラッシュ (/) の代わりにダッシュ文字 (-) を使用できます。
  • ほとんどのパラメーターは、大文字と小文字が区別されます。たとえば、ステップ名およびプロックステップ名は大文字で指定する必要があります。
ジョブを再開するステップまたはプロックステップを識別
指定したステップからジョブを再開するには、次の形式を使用します。オプションでプロックステップも指定できます。
casout /r<Servername>
/jrestart:<job-number>#f<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name>]

たとえば、ステップ 20 からジョブ 1051 を再開するには次のようにします。

casout /rTST /jrestart:1051#fSTEP20

ジョブの最初のステップからジョブを再開するには、ステップを指定する代わりに $FIRST を使用します。次に例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#f$FIRST

ジョブ番号 1006 を最初のステップから再開します。

重複するステップ名を含むジョブで再開するステップを識別
ジョブに重複するステップ名が含まれている場合、#f パラメーターと <step-name> および <proc-step-name> (オプション) を次の形式で使用して開始するステップを指定できます。
casout /r<Servername>
/jrestart:<job-number>#f<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>]

次に例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)

3 番目の STEP2 のステップ内の最初の PSTEP からジョブを再開します。

再開時に MF_UCC11 環境変数の値を変更
再開時に MF_UCC11 の値を変更するには、#m パラメーターを使用します。次に例を示します。
casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#mY

#m の有効な値は次のとおりです。

Y
MF_UCC11 の処理をオンにする (MF_UCC11=Y と同じ)
N
MF_UCC11 の処理をオフにする (MF_UCC11=N と同じ)
M
MF_UCC11 の処理を MOD に設定する (MF_UCC11=M と同じ)

この環境変数の詳細については、「ジョブの再起動機能の有効化」および「MF_UCC11」を参照してください。

終了するステップを識別
再開したジョブを終了するステップを識別するには、#t パラメーターを次の形式で使用します。
casout /r<Servername>
/jrestart:<job-number>#f<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>]#t<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>]

次に例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#tSTEP4(1):PSTEP(2)

3 番目の STEP2 のステップ内の最初の PSTEP からジョブ 1006 を再開し、最初の STEP4 のステップ内の 2 番目の PSTEP までで実行を終了します。終了ステップは実行に含まれます。

前回実行時の条件コードおよび異常終了コードを使用して再開
異常終了および条件コード回復 (ACR) を使用すると、ジョブを再開するときに #k パラメーターを使用して前回実行時のステップの COND コードと ABEND コードを使用できます。

#k パラメーターには 2 つのフィールドがあります。1 つ目は前回の ABEND コードを使用するかどうかを示し、2 つ目は前回の COND コードを使用するかどうかを示します。

#k<abend-field><condition-field>

両方のフィールドの許容される値は次のとおりです。

Y
前回のコードを使用します。
N
前回のコードを使用しません。
R
RC=0 にリセットします。
D
これがデフォルト値です。Y と同じです。
値なし
デフォルトが使用されます。

次に例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#tSTEP4(1):PSTEP(2)#kRY

前回の実行で異常終了したステップを RC=0 にリセットし、それ以外のステップについては前回実行時の COND コードを維持します。

ステップ固有の条件コードを使用して再開
#c パラメーターを ACR オプションの補足として使用するか単独で使用して、個々の COND コードを指定したり、前回のすべての COND コードを使用するように指定したりできます。これらのオプションを使用すると、開発者やシステム エンジニアがジョブを再実行する際に、以降の条件の評価で使用するステップの COND コードを簡単に変更できます。#c パラメーターは、ステップ名、プロシージャ名、およびステップのインスタンス番号 (オプション) と使用する値を識別します。
#c{<step-name(instance-number)>[:
<proc-step-name(instance-number)>] | $ALL}:value}[...]
value は 1 から 255 (ジョブの最大ステップ数) までの任意の数値です。

次に例を示します。

#cSTEP20(3):PSTEP10(2):1

3 番目の STEP20 にある 2 番目の PSTEP10 の COND コードを値 1 に設定します。

次に、#c パラメーターを casout /jrestart および他のオプションとともに使用した例を示します。

casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)
#tSTEP4(1):PSTEP(2)#c$ALL:5#cSTEP20(1):4
#cSTEP20(3):10

この例では、すべてのステップの COND コードを 5 に設定してから、最初の STEP20 の値を 4 に設定し、3 番目の STEP20 の値を 10 に設定しています。

Micro Focus Batch Scheduler Integration (MFBSI) を使用して再開
元のまたは変更された JCL を使用して、Micro Focus Batch Scheduler の mfbsijcl コマンドで JCL ジョブを再開できます。
元の JCL
次の例では、mfbsijcl コマンドおよび元の JCL を使用してジョブを再開する方法を示します。また、/jrestart の標準オプションの例も示します。
mfbsijcl /jrestart:1234567#fSTEP2:PSTEP(1)
変更された JCL
mfbsijcl コマンドを使用して、変更された JCL でジョブを再開するには、次の構文を使用します。
mfbsijcl {/j<modified-JCL-file> | <basejcl>} /jrestart:<standard-parms>

詳細は次のとおりです。

modified-JCL-file
変更された JCL ファイルのフル パスまたは相対パスおよびファイル名。
basejcl
mfbsi.cfg ファイルにある JCL-Submit および JCL-Exit を使用して解決される JCL ベース。
standard-parms
このトピックで別途明記されている /jrestart オプションの有効なパラメーター。

次に例を示します。

mfbsijcl  /jC:\Temp\modified.jcl /jrestart:1234567#fSTEP2:PSTEP(1)
mfbsijcl  /j/tmp/modified.jcl /jrestart:1234567#fSTEP2:PSTEP(1)
mfbsijcl basejcl /jrestart:1234567#fSTEP2:PSTEP(1)
変更された JCL を使用してジョブを再開する場合:
  • 新しいジョブ番号がジョブに割り当てられます。
  • 初期 JOB 番号 (/jrestart:nnnnnnn で指定) の JESYSMSG および関連する MFELX*.dat ファイルが使用可能である必要があります。
Notes: mfbsijcl コマンドを使用する場合:
  • 高度な再開に関連するエラーの大部分は、OS Rc 220 コードで返されます。
  • mfbsijcl 置換フェーズ (標準または Control-M) を再度実行する必要がある場合は、JCL 自体に変更が加えられていなくても、変更された JCL 構文を使用します。
JCL コードを変更して再開
ジョブの JCL コードを編集した後に、cassub コマンドで /j/jrestart の両方のパラメーターを使用してジョブを再実行できます。

編集したジョブを再実行するときは、編集の基になった元のジョブ番号を指定する必要があります。変更後のジョブの実行時は、元のジョブの COND コードと GDG 情報が使用されます。次に例を示します。

cassub /rTST -jTEST1.JCL /jrestart:1006#fSTEP3

TEST1.JCL を再実行し、ジョブ 1006 の実行を STEP3 から再開します。

再開の自動調整
再開ステップの自動調整では、それよりも前のバイパスされたステップで作成されたはずのデータセットを考慮して、以降のステップに必要なデータセットが調整されます。自動調整を使用するかどうかは #a パラメーターで決まります。デフォルトは Y で、自動調整がオンになります。 N にすると、自動調整がオフになります。次に例を示します。
casout /rTST /jrestart:1006#fSTEP2(3):PSTEP(1)#aY 

STEP2(3):PSTEP(1) 以降で使用されるデータセットを探して定義されている場所を特定し、それに応じて再開するステップとプロックステップを調整します。デフォルトは #aY であるため、#a パラメーターを省略した場合も同じ動作になります。#aN を使用した場合は、自動調整は実行されません。

注: casoutcassub の構文では、いずれもスラッシュ (/) またはハイフンのいずれかを使用してパラメーターの開始位置を示すことができます。次に例を示します。
cassub -rTST -jTEST1.JCL -jrestart:1006#fSTEP3

これは次と同等です。

cassub /rTST -jTEST1.JCL /jrestart:1006#fSTEP3