このチュートリアルでは、Windows フォームの作成方法と、この Windows フォームを既存の COBOL プログラムと相互に動作させる方法を示します。フォームはマネージ COBOL で生成されます。フォームは、.NET データ型を COBOL データ形式にマッピングするための中間プログラムを呼び出します。中間プログラムは、ビジネス ロジックを実行するための既存の COBOL プログラムを呼び出します。
このソリューションには、次の 3 つのプログラムがあります。
このチュートリアルの前提条件として、次のように WinBook サンプルの一部である BookWrapper プロジェクトと LegacyBook プロジェクトをビルドしておく必要があります。
これにより、ソリューション エクスプローラーで WinBook ソリューションが読み込まれます。このソリューションは、BookWrapper、LegacyBook、および WinFormBook の 3 つのプロジェクトで構成されています。WinFormBook が太字表記になっているのは、ソリューションのスタートアップ プロジェクト、つまりデバッガーの起動時に実行されるプロジェクトであることを示すためです。
ビルドにより、WinBook ソリューションの WinFormBook\bin\Debug サブフォルダーに BookWrapper.dll および LegacyBook.dll という 2 つのバイナリが作成されます。このソリューションは閉じて構いません。
ここでは、Windows フォームを作成し、フォームをペイントします。生成されたコードを確認することもできます。
[New Project] ダイアログ ボックスが開きます。
Visual Studio でプロジェクトが作成され、デザイナーで自動的にフォームが開きます。
プロパティを表示するには、ラベルをクリックしてから [プロパティ] ペインを表示します。該当するプロパティまでスクロールして編集します。
次に、ボタン クリックに対応するコードを追加する必要があります。このコードでは、レガシー COBOL プログラムを呼び出して、返された情報をフォームに入力する必要があります。
method-id button1_Click final private. local-storage section. 01 input-string string. 01 my-exception type System.Exception. procedure division using by value sender as object e as type System.EventArgs. set input-string to textBoxStockNo::Text try set my-book to type BookWrapper.Book::Read(input-string) invoke self::PopulateForm(my-book) catch my-exception invoke self::DisplayException(my-exception) end-try end method.
method-id PopulateForm final private. procedure division using my-book as type BookWrapper.Book. if my-book <> null set textBoxStockNo::Text to my-book::StockNumber set textBoxTitle::Text to my-book::Title set textBoxPrice::Text to type System.Convert::ToString(my-book::RetailPrice) else set textBoxStockNo::Text to "****" set textBoxTitle::Text to "*************************************" set textBoxPrice::Text to "****" end-if end method.
method-id DisplayException private. procedure division using by value ex as type System.Exception. set label4::Text to ex::Message set my-book to null invoke self::PopulateForm(my-book) end method.
次に、ビジネス ロジックが含まれている既存の COBOL コードを追加して、フォームで使用できるようにする必要があります。このコードは、book.cbl を含む LegacyBook プロジェクトにあります。
さらに、データを .NET 型から COBOL 形式に変換するためのラッパー コードが必要です。Windows フォームでは .NET データ型が使用されます。このチュートリアルでは、System.String オブジェクトがこれにあたります。Book プログラムは、PIC X や PIC 99V99 などの COBOL 形式を使用します。付属のプログラム BookWrapper.cbl でこの変換が行われるので、このプログラムをソリューションに追加する必要があります。
提供されるファイルは、%PUBLIC%\Documents\Micro Focus\Enterprise Developer\Samples フォルダー内の Forms サブフォルダーにあります。
book.cbl と BookWrapper.cbl を追加するには、次の手順を行います。
次に、ラッパー コードを呼び出し、my-book に関連する最後の赤い波線を消去するために、フォームにコードを追加する必要があります。
01 my-book type BookWrapper.Book.
BookWrapper が宣言されたため、解析エラーがなくなります。エラーがある場合には、Forms\WinBook にあるデモンストレーションと照合して、違いを確認します。
クライアント Windows フォーム Form1.cbl は、COBOL として生成されます。ユーザーはこのフォームにデータを入力し、そこで戻りデータを受け取ります。クライアント フォームでは、次の処理が実行されます。
BookWrapper.cbl プログラムは、既存の COBOL プログラム book.cbl と Windows フォームとの間の中間プログラムとして機能します。この中間プログラムにより、既存の COBOL を変更する必要がなくなります。
ここで重要な点は、複数の言語を使用する場合、互換性がある型を使用することです。Windows フォームではデータを .NET 型として格納しますが、Book プログラムではデータを COBOL 形式と見なします。
BookWrapper プログラムの目的は、COBOL の PICTURE を .NET System.Strings にマッピングすることです。このプログラムは、Windows フォームからデータを System.Strings として受け取り、標準の COBOL データ形式にマッピングしてから既存の Book プログラムに渡します。
作業場所節では、コピーブックを使用してブック レコードのデータ項目を次のように宣言しています。
working-storage section. copy "book-rec-dotnet.cpy" replacing == (prefix) == by == book ==. ...
コピーブック book-rec-dotnet.cpy では、book-details レコードを宣言しています。ここで、book-title と book-stockno を COBOL の Picture 形式で宣言し、プロパティとしても宣言します。したがって、Getter/Setter メソッドを使用してこれらにアクセスできます。コピーブックには、以下が含まれます。
01 (prefix)-details. 03 (prefix)-text-details. 05 (prefix)-title pic x(50) property as "Title". ... 03 (prefix)-stockno pic x(4) property as "StockNumber".
次の get property メソッドでは、book-details レコードへのポインターを受け取ります。
property-id BookDetails pointer. getter. set property-value to address of book-details end property.
method-id Read static. local-storage section. 01 file-status pic xx. procedure division using by value stockno-in as string returning myBook as type BookWrapper.Book. set myBook to new BookWrapper.Book() set myBook::StockNumber to stockno-in call "BookLegacy" using by value readRecord by value myBook::BookDetails by reference file-status invoke self:RaiseExceptionIfError(file-status) goback. end method.
.NET の System.String であるstockno-inは、クライアント フォームから渡されます。また、返される Book クラスのインスタンスも表示されます。BookWrapper.cbl は、新しい.NET タイプBookを定義します。これは、任意の .NET 言語で書かれたプログラムで使用できます。
set myBook to new BookWrapper.Book()
set mybook::StockNumber
.NET の System.String (stockno-in) からデータを受け取り、myBook の StockNumber プロパティとして格納します。このプロパティは、コピーブックで Picture 文字列として宣言されており、データは標準の COBOL データ形式として book-stockno に格納されます。COBOL コンパイラは、データを .NET 文字列から COBOL の USAGE DISPLAY 項目 (pic x) に暗黙的に変換します。
call BookLegacy using ...
レガシー プログラム book.cbl を呼び出します。book.cbl プログラムに、myBook の「BookDetails」プロパティを渡します。BookWrapper.cbl のコードを見ると、BookDetails は book-rec-net.cpy で定義された BookRecord 構造体へのポインターを渡すことがわかります。この構造体は古い book-rec.cpy の構造体と一致します。したがって、従来の Book プログラムが見るのは、参照によって渡されるブック レコードです。これは想定通りの動作です。Book は、このレコードから在庫番号を読み取って、索引付きファイルから対象のレコードを読み取り、このレコードの他のフィールドにそのデータを書き込みます。
invoke self:RaiseExceptionIfError(file-status)
ファイルの読み取りで返されたファイルのステータスを確認します。エラーがあった場合には、.NET 例外が発生します。例外は、エラー状態を通知するための標準の .NET メカニズムです。
この book.cbl プログラムは、Micro Focus 製品に長らく同梱されているデモ プログラムです。このデモ プログラムは、手続き型 COBOL で作成されています。このプログラムによって、ブック レコードを含む索引付きファイルを読み書きします。
このソリューションでは、Book デモ プログラムを変更しないで、マネージ コードとして再コンパイルします。プログラムを再コンパイルすることにより、クラスとして公開し、そのメイン エントリ ポイントを静的メソッドとして公開します。
このプログラムの連絡節では、データが PIC X などの標準 COBOL 形式で定義されています。そのため、COBOL 以外のクライアント プログラムでは、これらのデータ形式を認識できません。クライアント プログラムと通信するためには、これらの形式を .NET と互換性がある型にマッピングする必要があります。このマッピングは、中間プログラム BookWrapper.cbl によって行われます。