ネスト化グループ

MLDAP ESM Module のバージョン 2 (Enterprise Server 2.3、および Enterprise Server 2.2 Update 2 用の一部のホットフィックスで入手可能) からは、グループを他のグループのメンバーとして指定できます。このネスト化グループ機能を使用すると、継承の形式でユーザーをグループに追加して、大きなユーザー グループを作成できます。

ネスト化グループの使用には、特別なモジュール構成は必要ありません。グループ A をグループ B に含めるには、単に group A をグループ B のメンバーのリストに追加します。この場合、グループ B はグループ A のスーパーグループと呼ばれます。これで、グループ A に属すユーザーはグループ B にも属すようになります。

ネスト化グループは、通常は、All-Groups モード が有効になっているが必要ない場合に最も役立ちます。

アプリケーション

ネスト化グループは、次のようなさまざまな目的のために役立つ可能性があります。

  • 大きなグループ。Micro Focus LDAP スキーマでは、ユーザー グループは、microfocus-MFDS-Group-Member 多値属性にメンバーシップ情報が格納される、LDAP オブジェクトとして実装されます。LDAP サーバーでは、通常は属性の最大サイズに制限があり、グループに含めることができるメンバーの数が制限されます。ネスト化グループは、メンバー数の多いグループを作成するために使用できます。たとえば、 ユーザーを多数含む ALLUSERS グループを作成するには、ユーザー ID の先頭文字が “A” であるすべてのユーザーを含む USERSA グループ、USERSB グループ、などと続けて作成してから、USERSAUSERSB、 ... と続くそれらのグループを ALLUSERS のメンバーにします。USERSA とその兄妹グループは、他の目的で使用されることはありません (たとえば、それらのグループにパーミッションを割り当てる ACE はありません)。それらは、ALLUSERS にすべてのユーザー アカウントを含めるためにのみ存在します。
  • グループ階層。ユーザー グループは概念的に階層構造になっている場合があります。たとえば、個々のプロジェクト領域のための複数のグループがあり (UIENGINE など)、それらすべてがより大きな 1 つの DEVEL グループの一部となっている場合があります。ネスト化グループでは、具体的なグループをより総合的なグループに含めることで、この位置付けを表現できます。
  • グループ管理およびパーミッション管理の簡略化。ネスト化グループを使用すると、組織でのユーザーの位置付けを正しく表して適切なパーミッションを割り当てるために、ユーザーを明示的に追加する必要があるグループの数を少なくすることができます。それにより、ユーザーを追加および削除する際のグループ メンバーシップの更新がより簡単になります。

制限事項

現在は、すべての ESF Administration 機能で適切にネスト化グループが使用されるわけではありません。ネスト化グループを使用する場合には、Micro Focus は、MFDS グラフィカル ユーザー インターフェイスの使用ではなく、esfadmin コマンドの ADDMEMBER および DELMEMBER サブコマンド、または LDAP リポジトリに直接作用する LDAP ツールを使用してそれらを管理することを推奨しています。LISTREFERENCES サブコマンド (および ESF Admin API 関数) では、現在はスーパーグループ メンバーシップは示されません。それは、 参照整合性サンプル ユーザー出口ではスーパーグループに属すユーザーが認識されないということでもあります。

グループのネスト状態の変更など、グループ メンバーシップの変更は、リージョンの起動後に初めてそのリージョンにユーザーがサインオンしたときに認識されます。リージョンに、グループ メンバーシップに関する情報を更新するよう指示することもできます。これは、MFDS 管理ユーザー インターフェイスまたは esfupdate コマンド ライン ユーティリティを使用してそれを ESF 更新要求に送信することで可能です。

esfadmin の使用によるグループのネスト

Alice は PROJ1 グループに属しているとします。次のように esfadmin コマンドを使用して、PROJ1 を DEV グループに追加できます。

esfadmin options ADDMEMBER GROUP=DEV MEMBER="PROJ1 group"

これで、Alice は PROJ1 および DEV の両方に属すようになります。

LDIF の使用によるグループのネスト

次の LDIF 断片では、AUDIT グループおよび FINANCE グループを作成し、AUDIT を FINANCE の一部にします。

dn: cn=AUDIT,CN=Enterprise Server User Groups,CN=Micro Focus,CN=Program Data,DC=X
changetype: add
adminDisplayName: Audit group
objectClass: microfocus-MFDS-Group
microfocus-MFDS-UID: AUDIT
description: ES auditors group

dn: cn=FINANCE,CN=Enterprise Server User Groups,CN=Micro Focus,CN=Program Data,DC=X
changetype: add
adminDisplayName: Finance group
objectClass: microfocus-MFDS-Group
microfocus-MFDS-UID: FINANCE
description: ES finance group
microfocus-MFDS-Group-Member: AUDIT group