特殊名段落

一般規則

1. 外部スイッチは、実行時に操作者が設定する。その設定は、関連付けられた条件名を検証して決めることができる。
2. mnemonic-name が外部スイッチと関連付けられている場合、書き方 1 の SET 文を実行して、その外部スイッチの状態を変更できる (「SET 文」トピックを参照)。
3. alphabet-name-1 句では、指定した文字符号系および文字照合順序 (あるいはその両方) に名前を関連付けることができる。PROGRAM COLLATING SEQUENCE 句 (「実行用計算機段落」トピックを参照)、または SORT 文か MERGE 文 (「SORT 文」または「MERGE 文」トピックを参照) の COLLATING SEQUENCE 指定で alphabet-name-1 を参照する場合、alphabet-name-1 句は文字照合順序を指定する。ファイル記述項 (「ファイル記述項の全体的な骨組み」トピックを参照) の CODE-SET 句で alphabet-name-1 を参照する場合、alphabet-name-1 句は文字符号系を指定する。
   1. STANDARD-1

       または ASCII

      を指定すると、文字符号系または文字照合順序は、米国国家規格 X3.4-1968 で規定されている情報交換用米国標準コードとなる。

       STANDARD-2 を指定すると、文字符号系は、国際規格 646 (情報処理交換用 7 ビット符号化文字集合) で規定されている、ISO 7 ビット コードの国際基準版となる。

       EBCDIC を指定すると、文字符号系および文字照合順序は EBCDIC となる。

      NATIVE を指定すると、固有文字符号系または固有文字照合順序が使用される。固有文字照合順序は、NATIVE コンパイラ指令の指定により、ASCII または EBCDIC となる。

      ASCII 符号系、ASCII と EBCDIC の文字照合順序、および両者の対応関係については、付録「文字集合および照合順序」を参照。

   2. 定数を指定した場合、alphabet-name-1 は CODE-SET では参照できない (「CODE-SET 句」トピックを参照)。文字符号系および文字照合順序 (あるいはその両方) は、以下の規則に従って定義される。
      1. 各定数の値は、以下を指定する。
         1. 定数が数値の場合、固有文字集合内の文字の順序番号。この値は、固有文字集合の文字数を表す値以下とする。
         2. 定数が文字の場合、固有文字集合内の実際の文字。文字定数の値が複数の文字を含む場合、その文字定数内の各文字には、左端の文字から始まり、指定中の文字照合順序の連続する昇順の位置が割り当てられる。
      2. ALPHABET 句で定数を記述した順番により、指定している文字照合順序内の文字の順番が昇順で指定される。
      3. 固有文字照合順序内の文字のうち、この定数句で明示的に指定しなかったものは、明示的に指定されたいずれの文字よりも、指定中の文字照合順序内で大きい順位であると想定される。これらの指定されていない文字の集合内の相対順序は、固有文字照合順序から変更されない。
      4. 文字符号系を指定する際には、固有文字集合内の各文字のうち literal-1 で指定しなかったものについては、指定中の文字符号系内の順番を作成者が定義する。
      5. THROUGH を指定する場合、固有文字集合内の連続する文字の集合のうち、literal-1 の値が指定する文字から literal-2 の値が指定する文字までの一連の文字が、指定中の文字照合順序で昇順に連続した位置を割り当てられる。さらに、THROUGH で指定した連続する文字の集合は、固有文字集合の文字を昇順または降順のどちらでも指定できる。
      6. ALSO を指定すると、literal-1 および literal-3 の値が指定する固有文字集合の文字は、指定中の文字照合順序内、

          またはデータを表すために使用する文字符号系内で、同じ順序を割り当てられる。

4. プログラムの文字照合順序内で最高順位の文字が、表意定数 HIGH-VALUE に関連付けられる。

    ただし、この表意定数を特殊名段落で定数として指定した場合は除く。

   プログラムの文字照合順序で最高順位の文字が複数ある場合は、最後に指定した文字が表意定数 HIGH-VALUE に関連付けられる。

5. プログラムの文字照合順序で最低順位の文字が、表意定数 LOW-VALUE に関連付けられる。

    ただし、この表意定数を特殊名段落で定数として指定した場合は除く。

   プログラムの文字照合順序で最低順位の文字が複数ある場合は、最初に指定した文字が表意定数 LOW-VALUE に関連付けられる。

6.  浮動小数点数定数は、利用者定義の文字照合順序内では使用できない。
7.  表意定数 HIGH-VALUE および LOW-VALUE を特殊名段落で定数として指定した場合、固有文字照合順序内の順序位置が最高および最低の文字にそれぞれ関連付けられる。
8.  SYMBOLIC CHARACTERS 句は、表意定数のように使用できる利用者定義語を定義するために使用する。IN 句を指定しない場合、symbolic-character-1 は、固有文字集合の順位が integer-1 で指定される文字を表す。IN 句を指定する場合、integer-1 は、alphabet-name-2 で指定した文字集合で表される文字の順位を指定する。
9.  symbolic-character-1 の内部表現は、固有文字集合で表される文字の内部表現となる。
10. CURRENCY SIGN 句は、通貨文字列を指定するために使用する。この通貨文字列は、数値編集データ項目を受け取り側項目として使用する際にその数値編集データ項目に配置され、数値または数値編集の受け取り側項目を持つ送り出し側項目としてデータ項目を使用する際にそのデータ項目から編集を解除する。また、この通貨文字列の存在を指定するために、基本形式の PICTURE 句の文字列で使用している記号を判別するためにも使用される。この記号は、通貨記号と呼ばれる。

    literal-6 は、通貨文字列の値を表す。

     CURRENCY SIGN 句で PICTURE SYMBOL が指定されている場合、通貨記号として literal-7 が使用される。

    CURRENCY SIGN 句で PICTURE SYMBOL が指定されていない場合、通貨記号として literal-6 が使用される。

    通貨記号が小文字の場合は、大文字と同等であると見なされる。

    この句がない場合、COBOL の文字集合で定義された通貨記号のみが PICTURE 句で使用される。詳細については、「COBOL 言語の概念」の章の「文字集合」セクションを参照。

11. DECIMAL POINT IS COMMA 句は、PICTURE 句の文字列および数値定数でのカンマおよび小数点の機能を交換することを意味する。
12.  NUMERIC SIGN 句を指定した場合、符号付き数値項目のデフォルト設定では、データ記述項の対応する SIGN 句の記述どおりに符号が格納される。NUMERIC SIGN 句は、特定のデータ記述項の SIGN 句で上書きできる。
13.  mnemonic-name を使用できる場合は、function-name を使用できる。
14. function-name が外部スイッチを参照しない場合は、以下の項目のいずれかを選ぶことができる。

    TAB	縦のタブ位置に移る (必要に応じて出力レコード中に ASCII X"0B" を挿入)	WRITE ADVANCING 文
    PRINTER	プリンター	DISPLAY 文
    FORMFEED	改ページする (必要に応じて出力レコード中に ASCII X"0C" を挿入)	WRITE ADVANCING 文
    COMMAND-LINE	コマンド転送	ACCEPT および DISPLAY 文
    ARGUMENT-NUMBER	コマンド ラインの引数番号	ACCEPT および DISPLAY 文
    ARGUMENT-VALUE	コマンド ラインの引数値	ACCEPT 文
    ENVIRONMENT-NAME	環境変数名	DISPLAY 文
    ENVIRONMENT-VALUE	環境変数値	ACCEPT および DISPLAY 文
    SYSERR	標準エラー装置	DISPLAY 文

     この COBOL システムで OS/VS COBOL、VS COBOLII、および SAA が提供する機能名のサポート状況を以下の表に示す。

    表 1. 機能名のサポート

    	OSVS	VSC2 Rel (2)	COBOL/370 または VSC2 Rel (3)/(4)	SAA L1
    SYSIN	y	y	y	y
    SYSIPT	U	U	y
    SYSOUT	y	y	y	y
    SYSLIST			y
    SYSLST	U	U	y
    SYSPCH	U	U	y
    SYSPUNCH	U	y	y
    CONSOLE	y	y	y	y
    C01	y	y	y	y
    C02	y	y	y
    C03	y	y	y
    C04	y	y	y
    C05	y	y	y
    C06	y	y	y
    C07	y	y	y
    C08	y	y	y
    C09	y	y	y
    C10	y	y	y
    C11	y	y	y
    C12	y	y	y
    S01	y	y	y
    S02	y	y	y
    S03		U	y
    S04		U	y
    S05		U	y
    CSP	y	y	y	y
    1 char rw literal	y
    AFP-5A			y

    キー：

    y

    文書に明記されており、メインフレームのコンパイラおよび COBOL システムで使用できる。

    U

    文書に明記されていないが、メインフレームのコンパイラで使用できる。

15.  CLASS 句は、句内に指定した文字の組に名前を関連付ける。class-name-1 は字類条件の中でのみ参照できる。この句内の定数の値が指定する文字は、class-name-1 を構成する排他的な文字の組を定義する。各定数の値は、以下を指定する。
    1. 定数が数値の場合、固有文字集合内の文字の順序番号。この値は、固有文字集合の文字数を表す値以下とする。
    2. 定数が文字の場合、固有文字集合内の実際の文字。文字定数の値が複数の文字を含む場合、その定数の各文字は class-name-1 が表す文字の組に含まれる。

    THROUGH を指定する場合、固有文字集合内の連続する文字のうち、literal-4 の値が指定する文字から literal-5 の値が指定する文字までの一連の文字が、class-name-1 が表す文字の組に含まれる。さらに、THROUGH で指定した連続する文字は、固有文字集合の文字を昇順または降順で指定できる。

16. ソース要素の特殊名段落の中に指定したすべての句は、そのソース要素に含まれるソース要素にも適用される。ソース要素が入れ子構造である場合、親ソース要素の特殊名段落で指定した条件名、呼び名、字類名、通貨記号、符号系名、および記号文字は、任意の子ソース要素から参照できる。
17.  CALL-CONVERSION 句を使用すると、パラメーターの受け渡しに関する事前定義済みの方式のうちのいずれかを選択できる。これにより、COBOL 以外の言語で記述され、パラメーター受け渡し方式が異なるサブプログラムを呼び出せる。
18.  CONSOLE IS CRT 句を指定する場合、ACCEPT 文または DISPLAY 文のうち、作用対象が画面名でなく特定の書き方に固有の句を含まないものが、書き方 5 として扱われるようになる。CONSOLE IS CRT 句を指定しない場合、それらの文は標準の ANSI ACCEPT 文または DISPLAY 文として扱われる。
19.  CURSOR IS 句は、ACCEPT 文が使用するカーソルのアドレスを含むデータ項目を指定する。
    1. ACCEPT 文の開始時に、data-name-1 の値が画面上の有効な文字位置である場合、その文字位置がカーソルの初期位置として使用される。それ以外の場合、data-name-1 は無視されて、画面上の最初の入力フィールドの先頭がカーソルの初期位置となる。ACCEPT 文の終了時に data-name-1 内の文字位置を ACCEPT 文で使用すると、data-name-1 の値が更新される。その結果、ACCEPT 文の終了時のカーソルの位置が data-name-1 に含まれる。
    2. CURSOR IS 句は、画面上のフィールドの位置指定には影響を与えない。
    3. data-name-1 の長さは 4 文字または 6 文字とする。data-name-1 の長さが 4 文字である場合、上 2 文字が行番号として解釈され、下 2 文字が列番号として解釈される。data-name-1 の長さが 6 文字である場合、上 3 文字が行番号として解釈され、下 3 文字が列番号として解釈される。
    4. data-name-1 に含まれる値が有効な位置でない場合 (ゼロ、文字、画面の最下部よりも下の値など)、この句は効力を発揮しない。
    5. data-name-1 に含まれる値が有効な位置ではあるが、現在の ACCEPT 文で受け取る入力フィールドに対応しない場合、カーソルは次の入力項目に位置指定される。その際、次の入力項目が存在しないと、最初の入力項目に位置指定される。入力項目の順番は、データ部にデータ記述を書いた順番である。
20.  CRT STATUS 句は、書き方 4 または書き方 5 の各 ACCEPT 文の実行後に、状態値の転記先となる 3 バイトのデータ項目を指定する。

    特殊名段落に CRT STATUS 句を指定した場合、書き方 4 または書き方 5 の各 ACCEPT 文の実行により (詳細は本章で後述)、その結果を示す値が data-name-2 に入れられる。data-name-2 は状態キーから構成される。状態キーは、処理の完了結果を表す状態を示す。各状態キーの意味については、以下で説明する。

21.  xml-schema-name-1 は、XML PARSE 文の VALIDATING 指定で使用できる名前を指定する。翻訳オプション ASSIGN(DYNAMIC) を設定した場合、literal-8 または data-name-3 は XML スキーマのファイル名をテキスト形式で指定する。ASSIGN(EXTERNAL) を設定した場合、external-file-reference-1 を使用して、外部環境名にマッピングしてスキーマを識別する。