複数のカタログの構成

Enterprise Server で複数のユーザー カタログを有効にして、特定のデータセットの詳細をどのカタログに保持するかを構成するには、次の 2 つの環境変数を設定する必要があります。

  • MFUSERCAT_NODE - この変数は、個別のカタログに詳細が保存されるデータセットのノード指定またはパターンを保持します。
  • MFUSERCAT_LOC - この変数は、各ユーザー カタログの場所および名前を指定します。

MFUSERCAT_NODE および MFUSERCAT_LOC は 4096 文字に制限されています。

注: 複数のユーザー カタログで同じ場所を共有している場合は、環境変数 MFUSERCAT_BASE_LOC を使用して、これらのカタログがある場所を指定できます。また、MFUSERCAT_LOC リスト内のそのエントリでは、フル パスおよびファイル名ではなく、ユーザー カタログの非修飾ファイル名のみを指定する必要があります。

この 2 つの変数は必須であり、セミコロンで複数のエントリを区切って保持できます。MFUSERCAT_NODE に指定した値には、MFUSERCAT_LOC で対応する値を設定する必要があります。2 つのリストに同じ数のエントリが含まれていない場合、ES リージョンの JES サポートは正常に初期化されません。詳細は、「複数のカタログの使用例」を参照してください。

指定されたカタログ ファイルが存在しない場合、システムの起動時に作成されますが、作成できないときは、JES システムは起動しません。ただし、ES_OPEN_CAT_ON_DEMAND 環境変数が Y に設定されている場合、ユーザー カタログを開く操作は、必要なときにのみ試行されます。この変数が設定されていると、リージョンの起動時にメイン システム カタログ (必要な場合) のみが作成されて開かれます。指定されたユーザー カタログが存在しない場合でも、そのファイルは作成されないため、そのファイルにアクセスしようとするとエラー (ファイルが見つからない、または利用できないなど) が発生します。ただし、ファイルがなくても、JES システムはそのまま起動します。そのカタログ ファイルが再度必要になると、ファイルを開く操作が試行されます。このようなプロセスによって、リモート ファイル システムへのネットワーク接続など、ファイル アクセスに関する一時的な問題に対してより回復力の高いシステムとなります。

注: カタログ ファイルへのアクセス エラーは、エラー コード 9908 を使用して報告され、ESAMC カタログ ページに表示されます。このページには、カタログ エラー、アクセス先のカタログ ファイル、返されたファイル状態、ファイルが存在するかどうかなどの情報が表示されます。

開くことができないカタログ ファイルについては、環境変数 ES_CAT_RETRY_COUNT および ES_CAT_RETRY_WAIT を使用して、開く操作を再試行する回数 (この回数を超えると前述のエラーが報告される)、および再試行の間隔 (秒単位) を設定できます。ただし、これらの変数を設定する場合は、エラーの報告にかかる時間に影響を与える可能性があり、チェックが行われている間にジョブの処理が遅れるため、注意が必要です。これらの変数は、発生するファイル アクセスの問題が 1、2 秒間程度である場合に (ネットワーク接続の瞬断など)、システムを中止する前に回復できるようにするために役立ちます。

JCL ジョブの実行中にカタログ ファイル アクセス エラーが発生すると、ジョブはコード S413 で異常終了し、ステップ出力またはジョブ出力にメッセージが書き出されます (通常はメッセージ コード 243U)。

Enterprise Server で特定のデータセットのカタログ検索を実行する際は、まずデータセット名と MFUSERCAT_NODE で定義されているパターンが比較されます。その名前が定義されたパターンの 1 つと一致すると、対応するカタログ ファイル (通常は catalog.dat という名前だが、任意の名前を付けることが可能) でそのデータセットに関する情報が調べられます。選択したユーザー カタログでデータセットが見つからない場合は、システム カタログが検索されます。同様に、新しいデータセットのカタログ化が要求された際は、その名前と MFUSERCAT_NODE で定義されているパターンが比較され、一致するものが見つかると、そのデータセットは対応するユーザー カタログでカタログ化されます。一致するものが見つからない場合は、システム カタログでカタログ化されます。

ESMAC のカタログ リスト機能では、ノード リストを参照せずに、検索パターンと一致するデータセットが使用可能なすべてのカタログで検索され、検索結果のデータセット リストがアルファベット順に表示されます。