バーチャル モダナイゼーション フォーラム 2020
開催レポート

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既存投資を保護しながら絶妙なバランスで時代の最前線へ
それが最もスマートなDX

デジタルトランスフォーメーション(DX)の要はITモダナイゼーションにあり、その正否は最もスマートな道を選択できるかどうかにかかっている。10月14日(水)、マイクロフォーカス合同会社は「モダナイゼーションフォーラム2020」をオンラインで開催。今回のテーマは「DX実現に向けた既存システムのモダナイゼーション」で、Keynoteには企業のアプリケーション戦略に関するリサーチ・分析の第一人者である ガートナージャパン アナリスト 片山治利氏が登場。DX実現のためのエンタープライズアプリケーション戦略について語った。またマイクロフォーカスより、既存アプリケーション資産の活用メリットやグローバルな最新COBOLユーザー動向などとともに、サーバーレスコンピューティングの実現やアプリケーションのマイクロサービス化、コンテナ技術活用など最新ソリューションの実践方法についてデモを交え解説した。

変化適応のITモダナイゼーションとは、既存資産と新技術を繋げていくこと

イベントのオープニングでは、Micro Focusでアジアパシフィック地域を統括するStephen McNultyが挨拶。

企業や組織にはDX実現のためのITモダナイゼーションが求められている。そして、既存システムと新たな技術を繋げていくことこそが最もスマートなデジタルトランスフォーメーションだと訴求。マイクロフォーカスは世界有数のエンタープライズソフトウェアプロバイダーとして、世界中の数十億もの取引を支え、事業に欠かせないITで中心的な役割を担っており、顧客のデジタル変革や、企業成長を始めとした目標を達成しながらの事業プロセスやビジネスコストの最適化を、これからも引き続き支援していくと語った。
Micro Focus アジアパシフィック地域統括 Stephen McNulty

既存アプリケーション資産のクラウド環境への移行と最適化

Session1では、マイクロフォーカス合同会社COBOL事業部メンバーが順に登場し、さまざまな同社のモダナイゼーションソリューションを紹介、既存のCOBOL資産を活用するメリットと手法について解説した。

トップバッターで登場した小林純一は、DXの正否はいかにスマートにモダナイゼーションを実現するかにかかっていると強調した。DXは企業や組織にとって最優先事項であるものの、あまりに過激なアプローチを選択すると失敗に終わるリスクを有している。マイクロフォーカスのモダナイゼーションソリューションであれば、アプリケーション、データ、スキルといった重要な知的財産を維持しながら前進できるため、最もスマートな道筋をたどることができる。また、第三者機関がグローバル規模で実施した最新COBOLユーザー動向調査を披露。2020年以降もCOBOLをモダナイズあるいは維持しながら利用を続けていくと答えた企業が多数派であることを紹介した。
COBOLのユーザー動向画面

続いて黒田剛が担当したのは、最新技術を取り入れながらの既存アプリケーション資産の有効活用方法だ。クラウドファースト時代、資産のリフト&シフトが求められている。マイクロフォーカスのモダナイゼーションソリューションは、既存アプリケーション資産のクラウド環境への移行と最適化を支援し、資産の可視化やリホスト、マイグレーションを、最も「低リスク」「低コスト」「短期間」で実現できる。それとともに、アプリケーション、開発プロセス、インフラストラクチャのそれぞれのレイヤーで活用できる具体的な最新技術活用方法を述べ、大規模なモダナイゼーションに成功した企業事例についても言及した。

さらに高橋桂子より、モダナイゼーション支援製品ラインナップを簡潔に紹介。トピックとしてCOBOL製品およびエンタープライズ製品の最新版6.0Jの新機能・強化機能も紹介。最新のIBM Enterprise COBOLとの互換性を目的としたCOBOL言語機能の強化や、データドリブンテストがより利便性高く行えるなどMicro Focus Unit Testing Frameworkにおけるアップグレード、Eclipse環境においてはMavenプロジェクト形式がサポートされるなど、さまざまな新機能について説明した。

モダナイゼーションにおける最新技術活用の実際を豊富なデモで紹介

Session2では、モダナイゼーション実現のためにキーとなる最新技術について、”Tech Tips”として5つ紹介。ここでもCOBOL事業部メンバーが交代で登場、最新技術活用の実際を豊富なデモで具体的に解説した。

最初のテーマは、朝日宣文による「サーバーレスコンピューティングをCOBOLと.NETで実装」だ。Microsoft Azureには、FaaS形態のAzure Functionsサービスがあり、エンタープライズDevOpsの機能としてAzure DevOpsが用意されている。これらとマイクロフォーカスの統合開発環境(以下、IDE)との連携で、アプリケーションモダナイゼーションは容易に形になる。ここでは、CUIベースの既存店舗管理アプリケーションの一部ロジックを抽出して.NET COBOL化、C♯プログラムからこれを呼び出し、地図サービスと連携させたビジュアルなWebアプリケーションとする様子をデモで披露した。
サーバーレスコンピューティングをCOBOLと.NETで実装

もう一つ朝日が担当したのは、COBOLプログラムのマイクロサービス化である。こちらでは既存のローン管理アプリケーションの金額計算ロジック再利用を計画。プログラムフロー機能によるプログラム可視化、コードスライス機能による対象プログラム抽出、JVM COBOLでのCOBOLプログラムのJava化といった、IDEに搭載された一連の機能を用いながら、CUIベースのアプリケーションを、グラフを活用したWebアプリケーションに進化させた。

一方、コンテナ技術は軽量で環境構築に要する時間を短縮するとともに開発からリリースまでのサイクルを高速化するものとして高い注目を集めている。マイクロフォーカスのIDEで開発したCOBOLアプリケーションは、このコンテナ上に直接実装できる機能を有している(現状対応は英語のみ)。山城裕一はWindows環境のDockerコンテナであるDocker Desktop for Windowsを用い、IDE上でコンテナの設定を行ってDocker上でCOBOLプログラムを動かし、「開発者がテスト実行をすぐ行え、OSやライブラリといった環境に起因する問題を解消可能」と説明。

マイクロフォーカスのIDEにはまた、COBOL専用の単体テストフレームワークが備わっている。それがSession1でも登場したMicro Focus Unit Testing Frameworkだ。これを利用すれば、ターゲットプログラムのテストコードテンプレートが自動的に生成されるだけでなく、複数データを流しこむデータドリブンテストも可能になる。デモでは、COBOLのサブルーチンプログラムのテストコードの実装と実行が短時間に完了する様子が披露された。IDEでここまでカバーしているため、後はソースコード管理ツールなどと組み合わせ、プログラム解析から実装までサイクリックに回すことによってエンタープライズDevOpsが実現できるというわけだ。
エンタープライズDevOpsの実現画面

Tech Tipsの最後は、COBOL、PL/Ⅰ形式のデータメンテナンスを効率化する方法に関するものである。メインフレームで用いられるEBCDICデータやCOBOLのCOMPデータは、オープン環境では文字コード体系が異なるため、そのままでは文字化けして読むことができない。しかし、マイクロフォーカスのIDEにはデータファイルツールが搭載されており、閲覧可能になる。Session1に続いて登場した高橋桂子は、このツール上でVSAMファイルやEBCDICデータ、PL/Ⅰのレコード型を持つデータを開き、追加・更新する様子をデモ。元のデータ型や属性を活かしたデータメンテナンスが可能だと解説した。

今回のイベントでは、各セッション終了後にチャット機能を使ったQ&Aタイムが設けられた。現実の課題意識に根ざした質問が多く寄せられ、内容に応じてセッション担当者が分担しながら具体的な回答を返していた。オンライン形態であってもモダナイゼーションプロジェクトに携わる人々の「熱気」が感じられたイベントだった。

本イベントのセッション資料(PDF)をご希望の方はこちらからお申し込みください。

※競合製品・サービスをお持ちの企業の方はご遠慮ください。

申込フォームへのリンク

<セッション資料>

・DX実現に向けたIT モダナイゼーション

・最新技術環境での既存 アプリケーション資産の有効活用

・モダナイゼーション支援製品の紹介

・Tech Tips 1:サーバーレスコンピューティングをCOBOLと.NETで実装

・Tech Tips 2:IDEで作成したCOBOLアプリをダイレクトにDockerコンテナにデプロイ

・Tech Tips 3:COBOLからダイレクトにJavaクラスを作りマイクロサービス化を実現

・Tech Tips 4:COBOL専用の単体テストフレームワークでテスト効率をアップ

・Tech Tips 5:COBOL, PL/I形式のデータ メンテナンスはこれ1つで解決!