【第2回】レガシー資産を活かしたモダナイゼーションとは

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第1回
では、「COBOLとモダナイゼーション」と銘打って、塩漬けにならないCOBOLの活用方法としてモダナイゼーションを紹介しました。またその中で、マイクロフォーカス製品を使ってモダナイゼーションが実現できるということを簡単に説明しました。第2回ではマイクロフォーカス 製品を使ったモダナイゼーションとはどのようなことなのかを説明していきます。

その前にマイクロフォーカスのCOBOL製品の利用想定となるレガシーシステムにはどのようなものがあるか列挙してみましょう。

IBMメインフレーム

IBMが提供しているメインフレーム上で稼動するシステムでCOBOLやPL/I等の言語を用いて開発されており、オンライントランザクションはCICS、IMS DB/DC、ファイルシステムとしてVSAM、SAMなどにアクセスする。JCLでジョブの起動を行っているもの。

 

 

国産メインフレーム(日立、富士通、NEC)

富士通 OS IV / MSP、NEC ACOS-4、日立VOS3など国内ベンダーが出荷していたメインフレーム上にてCOBOLで構築されたシステム

 

 

オフコン

富士通、東芝、カシオ、シャープ、NEC、三菱電機、沖電気など国内ベンダーが出荷していたオフィスコンピュータ(オフコン)上のCOBOLで構築されたシステム

 

 

オープンレガシー

すでにオープン化された他社、もしくはマイクロフォーカスの旧製品を使用しているが、プラットフォームが非常に古いシステム

 

マイクロフォーカスが提供しているモダナイゼーションソリューションは、ターゲットとなるレガシーシステムによって対応する製品が異なります。

 

IBMメインフレームには専用の Enterprise Developer / Server という製品があり、これを使うことでIBMメインフレームで動作させていたアプリケーションをオープン環境にて稼動させることができます。

 

Enterprise Developer / Server は、IBMメインフレームで稼動しているJCL、CICS、IMSといったミドルウェアやVSAM、SAM等の標準ファイルをエミュレートする機能を有しているので、メインフレームで稼動していたアプリケーションがオープン環境で動作します。またCOBOLだけでなくPL/IもサポートしているのでCOBOL以外の資産を多く持っているユーザーにも最適です。下記がそのイメージ図です。マイクロフォーカスのコンパイラは互換性に関して非常に強く意識しており、IBMメインフレーム特有の計算精度など互換性を維持できるコンパイルオプションも用意されています。

 

 

一方、国産メインフレームを使っている場合、独自のDBやDC製品を採用しています。
この場合、トランザクション管理は、各メインフレームベンダーがダウンサイジング時に推奨しているJavaアプリケーションサーバー(富士通ならInterstage、日立ならCosminexus)や.NETの環境に移行し、DBもオープン環境で販売しているRDB製品を選択することになります。それが下記の図となっています。JCLは全てシェルやバッチファイルに書き換えとなります。
各ベンダーのCOBOLには基準としている国際規格のCOBOLが必ずあります。それらに沿うようなコンパイルオプションを指定することで、ある程度互換性を維持することも可能です。また、NECメインフレームは特有の演算丸めなどが存在します。これを維持するNEC ACOS用オプションが用意されています。

 

 

最後にオフコンやオープンレガシーの環境の場合です。オフコンは独自のハードウェアや独自OS に加え、ファイルシステムの特殊性などから言語としてのCOBOLを移行することになります。オープンレガシーでは新しいOSやDBで稼動する環境に移行することになります。

 

 

このように国産メインフレームやオフコン、オープンレガシーではCOBOLのコンパイラとしての機能を利用することになります。そのための製品がVisual COBOLです。この製品は、COBOLのコンパイル機能のみを有した製品となっています。

 

それではより詳しく製品について紹介していきましょう。下記の図をご覧ください。今まで説明してきた2つの製品についてわかりやすく説明しています。

 

 

開発環境製品

Visual COBOLはCOBOLコンパイラとしての基本機能を有しており、ネイティブコード生成のみならず、COBOLコードからダイレクトにJavaクラスの生成を行うJVM COBOL機能やCOBOLコードからダイレクトに.NETクラスの生成を行う.NET COBOL機能があります。DockerやPodmanのようなコンテナ上で稼働するCOBOLアプリケーションを開発することも可能です。
Enterprise Developerは、Visual COBOLの上位製品の位置づけとなっています。Visual COBOLの機能を包含しており、さらにIBMメインフレーム環境をオープン環境へ移行するための機能を有しています。また、移行だけでなく、システムを拡張し、モダナイゼーションを行うことも可能です。

 

 

実行環境製品

実行環境製品としてEnterprise ServerCOBOL Serverが用意されています。
COBOL ServerはネイティブCOBOLプログラムの実行環境として動作します。また、COBOL資産のWeb Service化や、EJB化といった、それだけでも機能豊富なところにCOBOLコードの.NETクラス化やJavaクラス化などの機能を持っています。そして最近耳にすることが多くなってきたコンテナにも対応しています。
COBOL Serverの上位製品にあたるのがEnterprise Serverです。COBOL Serverの豊富な機能に加えて、さらにIBMメインフレームの資産を稼動させるためのCICSやIMS、JCLの互換機能等を持っています。

 

 

リホストからモダナイゼーション

Enterprise DeveloperEnterprise Serverを利用することで、今まで塩漬けにするしかないと諦めていたIBMメインフレーム環境に新しいシステム拡張の選択肢が増えることになります。

 

 

資産の棚卸し

このようにIBMメインフレーム上の閉じたシステムをオープン環境に持ってくる時に非常に有益な製品がマイクロフォーカスにはあります。レガシーな資産を移行するときにそのプログラムが使用されているのか使用されていないのか、何のプログラムが何をコールしているのか、ファイルアクセスは存在するのかなど、いわゆる資産の棚卸し作業が必要になってきます。

 

 

その時に使用するのがEnterprise Analyzerという製品です。
Enterprise Analyzerは、COBOL のみならず PL/IやJCL、BMSファイルの静的解析が可能で、複雑に絡み合った既存資産を様々な角度から分析することができます。フローの自動描画やレポート機能も豊富に搭載しており、その出力データをエクスポートすることもできます。
また、製品独自の検索クエリを駆使することにより、パフォーマンスを低下させる要因となるコーディングを検索したり、未初期化の変数があるかチェックしたりとニーズに合った分析を実行することも可能です。フィールド属性情報が変更なるようなケースでは、それを使用しているプログラムは何か、どの位置で使用しているのかなど影響分析を行うこともできるようになっています。

 

 

最後にマイクロフォーカス製品を使用してIBMメインフレームからのリホスト事例とVisual COBOLを使用してモダナイゼーション事例をご紹介します。著名な企業がマイクロフォーカスの製品を活用し、移行を実現させたことが確認いただけます。

リホスト事例:https://www.microfocus.co.jp/mfproducts/enterprise/cases/

モダナイゼーション事例:https://www.microfocus.co.jp/mfproducts/COBOL/cases/

 

それでは次回以降では、各種機能についてより詳細に説明していきたいと思います。

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マイクロフォーカスのCOBOL 製品とは、COBOL 資産のモダナイゼーションを支援する製品群です。主要プラットフォームと最新テクノロジーをサポートしており、既存資産を世界的にデファクトスタンダードと認識されているMF-COBOLベースのCOBOL資産に移行できるというだけでなく、Java、.NET、Webサービスなどの最新テクノロジーと連携させ、低コスト低リスクで、ビジネスの変化に迅速に対応するシステム構築が可能です。

エンタープライズ製品

マイクロフォーカスのエンタープライズ製品群は、IBMメインフレーム・アプリケーション向けの開発・管理機能を提供します。
メインフレームクロス開発やリホストを可能にし、IBMメインフレーム・アプリケーションのモダナイゼーションを支援します。

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