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株式会社北陸電機商会

オープン環境で動くフレームワーク利用のオフコン COBOL資産、Micro Focus Visual COBOL への移行で完全オープン環境へ

日本海側最大の電材商社 株式会社 北陸電機商会では、1985年に基幹業務を担う全社オンラインシステムをオフィスコンピュータで自社開発し、そして2000年にその資産をフレームワークを活用し、オープン環境へ移しました。しかし2017年、そのフレームワークのサービス終了が発表されました。業務の流れを変えたくなかった同社はCOBOL to COBOLのストレート移行を選択。東京システムハウスのMMS/AJTOOL活用ソリューションを採用します。その前提ソフトウェアとしてMicro Focus Visual COBOLが導入されました。2022年、同社主導の移行プロジェクトは順調に完了。蓄積してきたCOBOL資産を維持しながら完全にオープンな環境へ移行できたことで、システムの柔軟性が高まり、パフォーマンス向上も実現しました。

The Overview

株式会社 北陸電機商会は、1946年の創業以来、電気機器・電設資材の独立系総合商社として活躍の場を拡げてきました。多種多様なメーカーの数十万点におよぶ製品を取り扱い、お客様のニーズにマッチしたベストの製品をチョイスするとともに、提案・販売・配送・設置までを一貫してサポートしています。北陸3県および新潟、岐阜に合計11の事業所ネットワークを構築、全事業所間でリアルタイムに情報共有しながらお客様に対応しているのも大きな特長で、日本海側最大の電材商社と呼ばれる所以でもあります。

地元である北陸の地で、時代の変化に合わせ柔軟な思考でニーズに応えるために、常に新たな製品やシステムを積極的にラインアップ。また「考える営業」をキーワードに、より一層のお客様満足を追求し、実現するのが同社の未来にわたっての使命となっています。

The Challenge

同社では、1985 年に基幹業務を担う全社オンラインシステム「Hokurikudenkishokai Online Totalシステム(以下HOTシステム)」を自社開発、これを第1次として数次にわたって資産を継承してきました。当初は東芝製オフィスコンピュータ(以下、オフコン)を採用、2000年にオフコン資産を継続利用できる東芝製フレームワークTPcareを導入して、オープン環境に移行しました。その資産数は、COBOLプログラムにして2,800本、JCLが2,000本、RDBデータが60本になります。

しかし、2017年、メーカーから TPcare のサービス終了が発表され、システム移行が不可避な状況となりました。同社として、第6次全社オンラインシステムをどのように構築するかが大きな経営テーマとして浮上したのです。

The Solution

このとき、オープン環境で新たにスクラッチ開発することも考えました。しかし、この構想は一瞬で消え去ります。40年近く蓄積してきたソフトウェア資産をなくすわけにはいかない、というのがその理由でした。株式会社 北陸電機商会 情報システム部 部長 徳本 兼次氏は次のように語ります。

「コストというよりも、業務の流れが変わってしまうことを危惧しました。自社開発で作ってきたCOBOL資産は、業務体系の流れに沿ったシステムになっています。それを、スクラッチにしろ、パッケージにしろ、業務を組み替えてしまうとシステムを利用する現場が混乱します。それは最大限避けたいと考えました。そのため、他のもので開発し直すよりも、他のCOBOLに移行させた方がすんなりいくだろうと判断しました」

また、TPcareのサービス終了が2022年と通告されており、品質の高い基幹業務システムを再度構築するのに十分な時間があるとは思えませんでした。
それでは、現状の COBOL 資産をどうストレート移行するか。メーカーから、2つの候補策が紹介されました。2019年3月のことです。そのうち、TPcareからの移行イメージをサンプルで見てすぐ好感触を抱いたのが、東京システムハウス(以下、TSH)のマイグレーション用ツールAJTOOLを用いるソリューションでした。ポイントは画面と入力操作の再現力にありました。

続いて行われたのがPoCで、その環境構築に導入されたのがMicro Focus Visual COBOLです。オープン環境でのCOBOLについて調査する際などでよくマイクロフォーカスの名前を目にしていた徳本氏は、Micro Focus Visual COBOLが前述のAJTOOLの前提ソフトウェアであることに好印象でした。
PoCは3本のプログラムで実施され、成功の感触をつかんだ同社は移行を正式に決定しました。

The Result

2021年 3月、移行プロジェクトがスタート。今回、同社は5名の情報システム部員でプロジェクトを主導することを希望しました。本番稼働後、情報システム部で基幹業務システムの運用保守を担うためです。移行プロジェクトを経験する中で、Micro Focus Visual COBOLを始め、新しい環境に習熟していく必要がありました。そのため、情報システム部側で事前の資産整理や調査分析やプログラム変換後の手修正を行うとともに、単体テスト、照合テスト、総合テストを実施。ベンダーは移行方式の設計・ツール開発・変換・技術サポートに専念しました。

2022年7月、Micro Focus Visual COBOLをベースとする第 6次全社オンラインシステム「HOTシステム」は、トラブルなく順調に滑り出しました。導入から 10 カ月、徳本氏はその効果を次のように語ります。

「まずは、サービスを終了する環境から、これまで蓄積してきた COBOL資産を維持したまま問題なく移行できたというのが大きいです。しかも、新システムでは周辺システム連携が柔軟になり、今回は帳票基盤と運用管理にサードパーティー製品を導入しました。これらは他のシステムでも利用可能です。完全にオープンな環境に移行したことによる効果といえます。
また、パフォーマンスが向上しました。今まで10分ぐらいかかっていたファイル処理は1分以内になりました。エンドユーザーからも『速くなった』との声が届いています」

情報システム部では、この先 Eclipse IDE に対応している Micro Focus Visual COBOLを同社の標準統合開発環境として活用していくことを決めています。これまでは各自好みのテキストエディターを使っていましたが、部としての統一を図るとともに、このツールが GUI を備えていて視認性が高いこと、多機能であること、コピー文などをまとめて参照できることを評価しました。 今後、情報システム部では、制度改正への対応や、文字コードの自動変換などシステムの利便性を高める方向で改善を続けていくとのことです。

徳本 兼次氏と本プロジェクトチームメンバーの方々

株式会社北陸電機商会
情報システム部 部長
徳本 兼次
本プロジェクトチームメンバーの方々

最後に、徳本氏はこう語りました。
「マイクロフォーカスには長く COBOL製品を提供してほしいと思います。当社の開発言語の90%以上は COBOLで、今後もできるかぎりこれまで蓄積してきた資産を維持していきたいと考えています。COBOL は会社に入ってからでも十分覚えられる言語なので、若手の育成は可能です。COBOLベンダーが存在し続けてくれることがとても重要です」

全体図
Hokurikudenkishokai Online Total システム資産数

Technical Keyword

オフコン資産のフレームワーク撤退に伴うCOBOL to COBOLのストレート移行

Challenge
・オフコン資産の継続利用を可能にするフレームワークのサービス終了が発生
・業務の流れを変えてしまう一からの再構築は不可能
・徐々に迫りつつあったフレームワークのサービス終了

Solution
・Micro Focus Visual COBOL の導入

Results
・フレームワークのサービス終了前にストレート移行を完了
・オープン環境への完全移行に成功
・周辺システム連携の柔軟性が向上
・システムパフォーマンスが大幅向上

ユーザープロフィール

株式会社北陸電機商会

本 社

富山県富山市

設 立

1956年11月

資 本 金

600百万円

従 業 員 数

248名

事 業 内 容

電気機器ならびに電気器具の販売、電気材料の販売、電気設備工事の設計施行および機器・器具類の販売、コンピュータソフトウェアの設計、プログラムの販売、技術提供、保守業務ならびにコンピュータシステムに継続利用できるフレームワーク TPよる入力およびこれに伴う事務処理の受託業務

ユーザー事例(PDF版)

株式会社北陸電機商会(1.78MB)