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AG

1日当たり1,400万件ものトランザクションを処理する大規模なメインフレームシステムのモダナイゼーションをMicro Focus Enterpriseソリューションがサポート

ベルギー最大の保険会社であるAGは、1日あたり1,400万件のトランザクション処理、6万件のバッチ処理を行う巨大なCOBOLシステムをメインフレームで約60年間運用していました。しかし、お客様のニーズや時代の変化に対応するには更なるデジタル市場での展開が不可欠と判断。大規模なCOBOLコードのオープンシステムへの移行実績をもつMicro Focusをパートナーとし、Windowsプラットフォームへの移行を決断しました。

このAG史上、最大規模のITプロジェクトの成功は、コスト削減や開発・運用の効率化、市場投入までの時間短縮など、多くの効果をもたらしました。また、移行後の最新技術を備えた環境は、新世代の開発者にとっても魅力的であり、開発人材の確保や採用における差別化要因にもなると期待されています。

The Challenge

ビジネスに不可欠な基幹システムをメインフレームから移行し、統合と効率化を実現することで、新たなデジタル市場を開拓する

Details -About AG-

AGは、各種生命保険や損害保険、また企業年金などを提供しているベルギー最大の保険会社です。1824年の創業以来、ベルギーで保険事業を展開しています。個人、中小企業、大企業を含め、300万の顧客を抱えています。

“オープンな世界”ならではのデジタル機会への対応に限界があるメインフレーム環境

2000年代初頭、一連の買収・合併を経たAGは、フォルティス銀行(現BNP パリバ・フォルティス)と緊密な提携を結んでおり、COBOLで開発された自社システムやアプリケーションの恩恵を受けながら、独自の競争力を発揮していました。 同社は、自分たちが思い描く未来に向けて自ら舵を切るべく、自律化したITアプリケーションとインフラ構成を構築するための プロジェクトを開始、2008年にはフォルティスから分離しました。AGの最高情報技術責任者であるPhilippe Van Belle氏は次のように述べています。

「BNP パリバ・フォルティスのメインフレームでホストされていた最もビジネスクリティカルな基幹システムの一部は、ITの自律化を目指したプロジェクトを開始したにもかかわらず、そのまま維持することに決めました。このメインフレームでは 1日当たり1,400万件ものトランザクションを確実に処理しており、リスク回避を第一に考えなえればならない保険会社として、1960年代から依存してきたメインフレームでこの膨大なトランザクションの処理を維持し続けることが最善だと考えたのです。」

それから10年余りの月日が流れ、世界は急速に変化していき、それとともにお客様の期待や市場も変化しています。その流れに対応するためには、基幹システムと主なビジネスパートナーの統合だけでなく、データやサービスの統合など、さらなるデジタルコネクティビティ(デジタル連結性)が必要とされます。メインフレームは、デジタルの世界に対する開放性という点においては限界があります。折しも、BNP パリバ・フォルティスはデータセンターの移転という大きなプロジェクトを計画していました。これがちょうどメインフレームプロバイダーとの契約終了の時期と重なり、AGとBNPパリバ・フォルティス、2つの組織を分離することが妥当になったのです。

ここでAGは、大きな決断を迫られました。選択肢にあったのは、システムの重要性を考慮し従来のメインフレームを継続するために、 新しいメインフレームのホスティングパートナーを見つけるか、あるいは 、この機会を活かして、IT戦略全体や組織の将来像によりマッチさせていくために、システム全体をWindowsベースのオープンシステムにリプラットフォームするか、という決断です。リプラットフォームは確かに魅力的でしたが、Van Belle氏は、この選択肢に大きな懸念を抱いていました。

「金融規制当局がこの動きを注視していました。なぜなら、私たちは何十億ユーロもの資産を管理している企業であり、万が一重大なダウンタイムやパフォーマンスの問題が発生すれば、ベルギー経済に直接的な悪影響を及ぼすことになるからです。このことを念頭に、リプラットフォームに注力しつつも、代替のメインフレームの選択肢は必要な限りオープンにしておくという並行路線を取ることにしました。」

8,000万行におよぶコード、1日当たり6万件のバッチ処理と1,400万件に上るトランザクションをリプラットフォーム

AGは、この重要なプロジェクトの指揮を執るメインフレームのリプラットフォーム責任者として、José Fortemps氏を採用しました。6,000 MIPSもの処理速度を必要とする8,000万行のCOBOLコード、1日当たり6万件のバッチ処理、そしてソリューションに組み込まれた貴重なビジネスインテリジェンスなど、これらの移行を実現するためにはテクノロジーパートナーとの提携が極めて重要でした。社内では、リプラットフォームの推進だけでなく、開発部門とビジネス部門が積極的に参加し、全社的な目標の達成に向けて取り組むための変更管理プログラムが立ち上げられました。Fortemps氏は当時を振り返り、次のように述べています。

「このプロジェクトの支援に関していくつかの選択肢を検討しましたが、Micro Focus Enterpriseソリューションの ポートフォリオが私たちの要件に最も適していました。Micro Focus は、大規模な COBOLコードを分散型のオープンシステムへ移行してきた成功実績があり、 私たちにとって最適なパートナーになると確信しました。変換が必要となったIMSデータは100TBもあり、スケーラビリティとパフォーマンスは私たちにとって重要な成功要因でした。緊密な連携のもと、システムインテグレーターのパートナーであるHPEは、Micro Focus や Microsoft とともにアーキテクチャを検討し、開発、テスト、受け入れ、本番環境をカバーするターゲット環境について調整を行いました。」

その頃、残念ながら世界は新型コロナウイルス感染症のパンデミックに見舞われていました。この間、すべてのパートナーやAG社内の関係部門間の調整において、Micro Focus チームが極めて重要な役割を果たし、リモートで取り組みながらも順調にプロジェクトを進めることができました。Fortemps氏は次のように述べています。

「当初は、設計、ビルド、テスト、導入という直線的なプロセスを想像していました。しかし、数十年前のIT環境をモダナイズするのですから、当然ながらその道のりは複雑なものになると予想されました。それにも関わらず、関係者全員がソリューション重視の姿勢をとり、経営陣からも絶えずサポートを得られたおかげで、少しずつゴールに向かって進むことができました。」

Micro Focus Enterprise ソリューションが支援する素晴らしいチームワークの成果

新型コロナウイルス感染症の規制の影響下にあった3年にわたる綿密な準備期間中、600人以上の関係者がそれぞれの専門分野でこのプロジェクトに貢献しました。最後の1年は、AGの全開発チームを対象に、よりアジャイルになった新しい開発プロセスのトレーニングを行い、新しいWindows環境での開発のメリットを教育するという手厚い開発変更管理プログラムに重点が置かれました。重要なマイルストーンはすべて達成され、本番稼働開始日の6か月前には、開発環境の移行に備えてすべての本番コードが凍結されました。

数か月後、アプリケーションのメンテナンスや開発効率を向上させるべく 、Micro Focus Enterprise Developerによる最新のIDE(統合開発環境)を使用した 開発作業がスタートしました。開発環境の移行に続きテスト環境も移行され、残るは本番環境の移行のみとなりました。 そしてついに、3年にわたる準備の集大成として4日間の連休を利用したビッグバンアプローチ(一括導入型)による本番稼働の日を迎えました。チームはこの連休の作業のために、8か月を費やして20,000件以上の作業項目をまとめた手順書を作成 するなど、最新の注意を払って準備を行いました。Fortemps氏は、そのプロセスについて次のように説明しています。

「1日目はすべてのアプリケーションを終了し、メインフレームから新しいプラットフォームへのデータ転送を開始、Micro Focus Enterprise Serverにデプロイしました。翌日はすべてのデータのチェックとすべてのアプリケーションを再接続しました。その後、2日間かけて徹底的にスクリーニングやバッチテストを行い、AGのIT部門とビジネス部門、そしてMicro Focusを含む素晴らしいパートナー企業の献身的な努力により、最終段階で発覚した問題を修正しながら作業を進めていきました。 そして、翌日にはすべてのアプリケーションを起動し、無事に業務を開始することができました。このリプラットフォームに関する情報は、当社のスタッフ、5,000社の販売パートナー企業、そして当社のお客様にも完全に公開しています。私たちは、この驚異的な成功をとても誇りに思っています。」

新たなプラットフォームでデータドリブンな戦略が可能に

透明性の高い移行を目指した結果、現場ではその効果がはっきりと現れています。会社としては、フォルティスがホストするメインフレームから移行したことで、独自のIT戦略に対する完全なる自律化を達成しました。 メインフレームのホスティングパートナーを変更することでも、このような自律化 はできたかもしれませんが、その場合、メインフレーム環境による統合の制限のほか、開発のアプローチのサイロ化という課題が残されたままになります。Van Belle氏は次のように喜びを語っています。

「Micro Focus EnterpriseソリューションでメインフレームのワークロードをWindowsに移行した結果、高騰を続けるメインフレームのコストと比較して、運用コストを年間75%以上削減することができました。4~5年以内に投資額を完全に回収できる見込みです。」

AG 最高情報技術責任者、Philippe Van Belle氏

コスト削減はもちろん歓迎すべきメリットではありますが、今回これほど多大なリスクと難しさを伴う移行を決断した理由は、それだけではありません。移行後の環境ではAPI(アプリケーションのデータ共有や交換を可能にするプロトコル)に対してオープンであるため、 AGが目指すデータドリブンな企業の基盤を形成する業務システムとデータ分析システムが緊密に相互連携することができます。Van Belle氏は、主なメリットについて次のように言及しています。

「トランザクション駆動のバッチ処理の業務システムと、クラウドベースとなる最新のデータ分析ソリューションを接続できることは、私たちにとって非常に有益なメリットとなります。」

「Micro Focusによって、データドリブンな基幹システムを新たに構築し、データの統合が可能になりました。このようなバックボーンが築かれたことによって、コンテナ化やAPIといった新しいテクノロジーを活用し、継続的にテクノロジーを進化させながら、販売パートナーのシステムに対し、安全にオープン化することが可能になります。」

AG 最高情報技術責任者、Philippe Van Belle氏

「COBOLソリューションにクラウドベースの機能を直接統合することができます。例えば、COBOLアプリケーションから直接Google検索を行うことが簡単にできるようになりました。これは、モダナイゼーション後もCOBOLアプリケーションから変わらず競争力を得られることを示す一例に過ぎません。データの重要性はますます高まっています。私たちはデータを使うことで、商品やサービスをカスタマイズし、お客様のニーズに重点を置き、市場での競争力を維持して市場に適応していきます。」

コラボレーションに対応した最新の開発環境でサイロを解消

リプラットフォームの成功に伴う最も大きな変化の1つとして、AGの企業文化が変わってきたことが挙げられます。このプロジェクトによって、インフラ部門と開発部門のコラボレーションが強固なものになりました。コラボレーションに対応した最新のエンド・ツー・エンドの開発環境では、この新たに生まれた効果的な連携が十分に活かさ れているので、従来存在した組織間でのサイロ をすべて解消することができます。Fortemps氏は、このプロジェクトで起こった変化について次のように述べています。

「多くの人が関わり大きな変化を起こす時は、必ずしも最初の段階からすべての人の賛同が得られるとは限りません。私たちのリプラットフォームプロジェクトでは、メリットを明確に示し、すべての人を対象にして、彼らの意見を尊重した結果、このプロジェクトに懐疑的であった人たちからも全面的な支持を得ることができました。」

AGチームの開発スキルと知識が大幅に向上したことで、開発と運用が効率化し、市場投入までの時間が短縮されました。移行後の最新テクノロジーが採用されている環境は、新世代の開発者にとっても魅力的であり、開発人材の確保や採用においても差別化要因になると考えています。 Van Belle氏は次のように締めくくっています。

「これは、AG史上、最大規模のITプロジェクトです。数十年にわたり私たちの業務を支えてくれたメインフレームに別れを告げ、新しく革新的、かつ安全なオープンプラットフォームを迎え入れ、常に進化を続ける市場でお客様の期待に応えることができるようになりました。当社の価値観の1つに『果敢な挑戦』があります。今回のプロジェクトでは、職位にかかわらず全従業員がこの思いを共有し、体現することができたと感じています。このプロジェクトを成功させることができたのも、そして私たちが将来のデジタルトランスフォーメーションに対し、高い志を持って臨むことができるようになったのも、プロジェクトを通して常に私たちを支えたMicro Focusの手厚い支援があったからこそです。」

AG 最高情報技術責任者、Philippe Van Belle氏

Outcomes

  • + 75%の運用コスト削減 、4~5年で投資を回収
  • + 新商品や新サービスの市場投入時間を短縮
  • + 3年の準備期間を経て、新たなプラットフォームへの移行完了
  • + 更なるモダナイゼーションの推進に向け、戦略的なCOBOL資産を継続活用
  • + オープン化によるデータドリブン戦略の導入
  • + インフラ部門と開発部門の効果的なコラボレーションが実現
  • + アプリケーションのメンテナンスと開発を効率化